消費税増税後のEC動向(独自調査結果)
Date:2014.04.30
消費税が8%に増税されてから、まもなく1ヶ月が経ちます。増税後、楽天市場内の近況はどうなっているのか気になる店舗様も多いのではないでしょうか?今回、2013年楽天ショップオブザイヤーを受賞した店舗様を中心に「消費税増税後の販売状況はどうですか?」と質問してみました。食品、日用品、レジャー、スポーツ、ファッション、家電など、様々なジャンルの方々に聞いたところ、昨年同月比と比較すると4月の売り上げはほとんどの店舗様が前年割れとの回答でした。
水、お米など消耗品を中心とする日用品をはじめ、白物家電、楽器、ゴルフクラブなど比較的高単価な嗜好品は、増税前需要の影響で3月に売り上げがアップした分、4月に入ってからは厳しい状況です。また、ファッションジャンルの店舗も、靴、ベルト、アクセサリーなど、ライフサイクルの長い商品が増税前需要のタイミングで売れてしまったため、売り上げのベースアップが難しく、厳しい状況のようです。
取扱商品、売り上げ規模によっても異なりますが、様々なジャンルの店舗様に聞いた結果をもとに判断すると、昨年同月比でおおよそ平均で15%〜20%ダウンといったところでしょうか。下がり幅が20%未満であれば、ごく一般的な売り上げ推移と判断しても問題なさそうです。
楽天市場内における直近の傾向
増税後の消費冷え込みを最小限に抑えるため、最も頻繁に目にする施策は店舗別変倍によるポイント還元や、割引クーポンの配布です。これらの施策はキャッシュフローを生むためには効果的な手段ではありますが、ダイレクトに利益圧迫に繋がりますので、開催頻度、還元率には注意が必要です。
ポイント企画の落とし穴
クーポンの配布は、配布した店舗でしか利用できない「直接割引」で、かつ金額のフローが見えやすいため企画としてはやり易いですが、ポイントは配布した翌月以降に楽天市場から請求書が上がってくるため、利用金額(配布したポイントの合計金額)がリアルタイムで見えにくく、経費を使いすぎてしまう危険性があります。また、楽天のポイントは楽天に出店しているお店ならどこでも利用可能なので、単にお客様を喜ばすだけで終わってしまうケースも少なくはありません。また、ポイントを目当てに購入する方は、競合他店がポイント企画をしている時にはそちらのお店に流れやすい流動的な傾向が強いです。ポイント還元中には売り上げが上がるが、終了とともに売り上げが大きく下がってしまう場合は、そういった顧客に都合良く利用されている可能性もありますので注意が必要です。
増税後も売り上げが落ちていない店舗様が存在することを知りましょう
増税後、昨年対比で売り上げが下がっていることは一般的な認識かもしれませんが、実は増税の影響をほとんど受けることなく、売り上げを維持している店舗様も存在します。自社製のビールを販売する、ある店舗の責任者にお話を聞いたところ、消費税増税後も売り上げは下がっていないという驚きの回答が返ってきました。そこの店舗は自社で製造したビールを販売するメーカーですが、社長自らがユニークなキャラに扮して自社商品のブランディングに尽力してきた会社として有名です。ただのエンターテイメント性だけでユーモアを演出しているのではなく、商品の知名度向上の一環として真剣に取り組んでいます。もちろん商品開発にも尽力されており、商品の品質自体もかなり高い評価を得ています。
注目すべきポイントは、そこの店舗様のリピーターは全体の40%と非常に高いこと。社長のユニークなキャラと商品の品質、味、企画力が絶妙なバランスを生み、「いつもビールを買うときは、ここで買う」と決めている熱狂的なファンが多数います。すでに顧客との確固たる信頼関係があるからこそ、売り上げのベースが非常に高いレベルで維持されているのです。結果、競合商品は星の数ほど存在しても、消費税が上がっでも、顧客が再びリピーターとして戻ってきてくれるのです。
消費税が上がって、以前に比べて販売条件が厳しくなるのはどこの店舗も同じことです。消費者も今までより3%金額を上乗せして支払うことも重々承知しています。ただし上記の事例ように、キッチリとお客様との信頼関係が構築されていれば、それほど慌てる必要もないのです。
増税は店舗の基礎体力を養うには絶好の機会
ここでご紹介した事例は製造直売のいわゆる「オリジナル商品」販売の事例でしたが、競合他店と同じ商品を販売する型番商を扱う店舗の場合はどうしたらいいでしょうか?
型番商品を扱うお店でも、消費者の立場からすると信頼できる店舗から購入したいという気持ちは変わりません。当たり前のことですが、頼んだ商品が早く着く、問い合わせやクレームが発生した場合の対応が早い、丁寧なメール対応、購入後のフォローメールなど、当たり前のことを普通にこなすだけでもお客様は安心してくれます。また、品揃え、価格競争力、専門性などの要素が加わると、更に他店との差別化に繋がります。
ポイント企画やクーポンの配布はキャッシュフローを生むという点で、時には必要な手段かもしれません。しかし、よほど利益が確保できる商材を多く扱っていない限り、やり続けることは困難です。大切なことは、目先の売り上げだけを取りに行くのではなく、「ずっと継続できる企画や強さを武器に、健全な店舗運営を持続させながら売り上げを伸ばしていけるか?」ということです。増税直後の今は、そのために必要な「店舗の基礎体力」を養うことに目を向ける絶好のタイミングでもあります。しっかりと地に足をつけて、確実にステップアップしていける方法を見つけていきましょう!
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