適正在庫の見極め方(コロナ禍編)

Date:2021.03.17

日々ネットショップを運営していると、「適正在庫」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。適正在庫とは、売上を最大限に引き上げ、かつ過剰な在庫を有すること無く販売できる「最適な商品の在庫数」のことを言います。適正な在庫数を見極めることが出来れば、利益最大化、場所効率向上、安定したキャッシュフローの維持など、様々なメリットが発生します。一言で適正在庫と言えど、上手く調整することは簡単ではありません。さらに、コロナ禍において今までと違ったトレンドが影響し、適切な在庫数を見極めることが更に難しくなってきている昨今では、これまでの勘と経験が頼りにならず、混乱を招くこともしばしばあります。

今回は少しでも適正な在庫数を維持するために、日々どのような取り組みを行っていけば良いかを考えてみましょう。

販売実績を見極める

コロナウィルス拡大の影響で、ネット販売の売上が好調に推移しているお店が多いです。緊急事態宣言の延長による巣ごもり需要の長期化で、ECが全般的に好調に推移しています。売上が伸びることは店舗運営を営む方にとって有り難いことですが、コロナというこれまでに経験をしたことがない大変な事態だけに、売上を予測し、商品在庫を相応しい数で運用する事は容易くありません。なぜでしょうか?それは昨年の売上データが全く当てにならないからです。

本来であれば、売上予測を立てて、それに見合った数の商品を仕入れる上で、昨年と同じ時期の売上げ実績を参考にします。ところがこのコロナ禍においては大きく販売数が上振れしたり(特定ジャンルにおいては下振れしたり)するケースが頻繁に発生しています。昨年の販売実績が参考にならないのであれば、どのように販売実績を見極めれば良いのでしょうか?それはズバリ、直近のデータに目を向ける事です。

適正在庫数の割り出し方

現状で最も信頼できる適正在庫数の割り出し方は、1ヶ月単位での販売実績、1週間単位での販売実績をもと1日あたりの平均販売数を割り出し、発注してから入荷するまでの日数を掛け合わす方法です。ただし、セールなどで短日で大きく売上が跳ねたときの実績は除外とします。その適正在庫数に1割から2割ぐらいの数量を上乗せした数が、筆者の考える適正在庫数です。

セールの売上げを加味しない理由は、平均販売数を全体的に押し上げる危険性があるためで、セールが開催されていない時期の売上を含んでしまうと、過剰在庫になってしまう恐れがあるからです。また、1割から2割の在庫を上乗せする理由は、セールが開催されていないタイミングであっても、最近では販売数が上振れする場合がよくあるからです。

万が一、上記の法則に基づいて適正在庫を割り出した結果、多少の過剰在庫に陥ってしまった場合でも、1ヶ月毎、さらには1週間毎の販売実績を日々管理することで、短期間で適正在庫に調整することが可能となります。

在庫の推移は毎日確認することが理想的

適正在庫数を割り出す上で参考にする販売数は直近1ヶ月、ないしは1週間のデータとお伝えしましたが、在庫の推移は毎日確認することをお勧めします。確かに全ての商品の在庫に目を配ることはかなりの重労働なので現実的ではないですが、売れ筋商品に関しては毎日数量を確認したいです。なぜなら、競合他店が在庫を切らした、テレビやネットで紹介されたなどの理由で、突発的に商品が売れる可能性があるからです。

突然、商品がいつもより売れた時は、在庫欠品による販売機会ロスを防ぐために、急いで次の在庫を確保する必要があります。仮に売れ筋商品の在庫が切れたことに直ぐに気づけないと、知らないうちに大きく売上をロスしてしまったという自体を招きかねません。商品の販売数が予期せぬ理由で売れた場合には、できるだけ早く処置する必要があります。もし、メーカーが在庫を切らしていた場合でも、次の入荷予定が確定しているのであれば、納期情報を伸ばして先売りすれば良いのです。大事な事は、売れ筋商品に関してはカゴを止めないように努力することです。これによって売上減少に繋がるリスクを最小限に抑える事が可能となります。

結局は担当者の意識に頼るしかない

最近では受注管理システムや、在庫管理システムなどで、特定の在庫数を切ったら自動的に発注を入れる仕組みもあります。しかしながら、その基準を設定するのは未だに人であることが大半です。人が判断ベースになっている以上は、コロナ禍の流動的な販売推移に対して適切に対応することはできません。そもそも人が設定した基準自体が見誤っていたとすると、いくら素晴らしいシステムを導入したとしても本末転倒なのです。

結局は小まめに人が在庫の推移を分析し、短期間で頻繁に適正在庫を見直し、在庫の多い少ないを見極める作業を継続して行くしか適正な在庫を維持することはできないと割り切ることが肝心です。

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