店舗の基礎体力を身につける

Date:2022.01.03

コロナ禍が二巡し、EC特需による売り上げ成長も鈍化してきました。大手ECモールもかろうじて昨年対比で微増、減少する月も増えてきました。今なおコロナ禍がECに影響を及ぼす影響もありますが、以前ほど大きく売上に影響を与えないとなると、今からコロナが終息した後のことを見越して行動しなければなりません。

 

 

特需による売り上げ成長が止まると、その後は店舗の基礎体力が売上成長の大きな鍵となります。今一度、ネットショップが成長し続ける上で重要な要素を見直してみましょう。

 

 

 

価格で勝負する

消費者にとって一番わかりやすいネットショップの魅力は、販売価格の安さです。特に型番商品を扱う店舗の場合、いかに商品を安く提供できるかが売上を大きく左右します。さらに、人気商品が他店よりも安く販売できたなら、消費者から支持されることは確実です。

 

 

しかし、消費者から支持される商品は、概して、仕入れ原価が高い傾向があります。人気商材を安く販売して利益を確保することは、容易なことではないのです。少しでも安く販売し、しっかりと利益を確保するためには、仕入れ原価を抑える必要があります。

 

 

原価を抑える最もシンプルな方法は、仕入れる物量を増加させる代わりに原価を安くしてもらえないかを交渉する事です。仕入れる物量が増えても原価が変わらない場合は、思い切って他の仕入れ先を開拓してみましょう。メーカと直で取引している場合、問屋経由で仕入れた方が掛け率が安いケースがあります。問屋は小売店よりも多くのボリュームを仕入れることで、原価を安く抑えようとします。また、キャッシュフローを早めたいタイミングなので、メーカーより直接仕入れるよりも安くで商品を提案してもらえる場合があります。メーカーと直取引の場合、問屋からの仕入れを禁止する旨の契約書を交わしている場合は少々厄介ですが、特に規制されていない場合は、問屋からの仕入れ条件を確認してみましょう。メーカーから直接仕入れることが、最安値で仕入れることができる最良の方法だと決めつけず、まずは問屋からの掛け率の確認、仕入れ条件(物量)によって原価が下がるラインはどれぐらいなのかを調べてみましょう。

 

 

どうしても仕入れ原価を下げることができない場合は、利益が確保できる関連商品を同時に提案したり、まとめ買いできる商品であるならば、複数個購入してもらう事で利益額を確保する方法を考えましょう。人気商品を単体で安売りすることは店舗にとってメリットがない販売戦略であることをしっかりと認識しながら、確実に利益を確保できる販売戦略を同時に実践してください。

 

 

 

品揃えで勝負する

品揃えを強化することで、確実にユーザーのアクセス数を増やすことができます。アクセス数の増加は、売上の成長と切っても切れない重要な要素です。検索経由で流入してくるユーザーのほとんどは、店舗名ではなく商品名やブランド名、その他、用途なとで商品を検索し、店舗へと流入してきます。品揃えが増えるということは、その分、ユーザーの入り口が増え、結果、アクセス増加に繋がるのです。

 

 

お店へ流入してきたユーザーが欲しい商品へと的確に誘導することで、転換率の向上が期待できます。品揃えを強化したら、取り扱いを増やした関連商品、類似商品がユーザーの目に付きやすいよう、ページ内回遊策を考えましょう。せっかく品揃えを強化したとしても、ユーザーに伝わらなければ意味がありません。また、売り手には分かりやすいページであったとしても、買い手にとっても分かりやすいとは限りません。原則、品揃えを強化したならば、その事がどこのページからでも分かるよう、そしてアクセスできるように工夫してください。

 

 

ページ内回遊の導線や、カテゴリーのまとめ方などが分からない場合は、取り扱い商品点数が多い店舗を参考にしましょう。ECモール内の店舗のみならず、自社サイトで多くの商品を取り扱っている有名店舗を参考にしても良いでしょう。

 

 

 

在庫で勝負する

商品の在庫を常に切らさずに安定供給できることは、お店の強さに繋がります。売れ筋商品であればなおさらで、他店で在庫切れが多発するタイミングで在庫を持っていれば、ユーザー自らが商品を求めてお店にやってきます。他店で在庫が切れているタイミングでは、特に値引きしなくても自ずと商品は売れていきます。

 

 

分かりやすい例がAmazonです。Amazonでは原則JANコードと紐付けして商品を登録するため、同じカートを複数の店舗で共有します。その時々で販売価格や、在庫、配送スピードの優位性を自動的に計算し、最も有利な条件を整えている店舗がカートを獲得する仕組みです。在庫があり、すぐに商品を発送できることで、他店よりも多少価格が高くてもカートを獲得でき、売上に繋がるケースも珍しくはありません。

 

 

需要と供給のバランスで、需要に対して供給が上回ると、売り手は有利な条件で商品を販売することができます。その点において、常に商品を供給できることはユーザーに支持されるお店の魅力と言えます。

 

 

 

希少性で勝負する

他店ではあまり取り扱いをしないニッチな商材で勝負する店舗もあります。敢えて競争が激しい商品で勝負せず、競争の少ない商品で勝負することで、他店との差別化を図る戦略です。ネットショップが普及してきた昨今、これまでリアルでは埋もれていたニッチな商材を扱う店舗も、検索経由で簡単にユーザーに見つけてもらえるようになりました。

 

 

希少性を売りにすることで、特定ユーザーを囲い込むことができ、大きな売上成長は見込めなくとも、安定した売上を確保できることが期待できます。一方、希少性が高い商品を扱うためには仕入れルートの確保が最優先事項です。業者などの仕入れ先のみならず、一般ユーザーからの仕入れも含めて、強固な仕入れルートを確保する必要がありますので注意が必要です。

 

 

 

露出で勝負する

利益率が高く、しっかりと利益が確保できる商品の場合、継続的に広告を運用しながら、常にユーザーの目に付くよう露出して勝負する方法があります。この場合、重要なポイントは「費用対効果が高い広告をいかに選ぶか?」ということです。担当ECCからの情報のみならず、他の店舗から、今、どんな広告が費用対効果が高いか?を常に情報収集し、上手に広告運用する必要があります。

 

 

概して、広告は利用するユーザーが多くなればなるほど、費用対効果は低下する傾向にあります。広告メニューが飽和状態になる前に、常に新しい広告の利用についても積極的に検討していきましょう。

 

最近では、ECモール内の広告のみならず、外部の広告を利用してECモール内の店舗に誘導する手法も増えてきました。本来であれば「外部広告を利用するのであれば、自社サイトへ誘導した方が賢明なのでは?」と考える人も少なくないと思います。しかしながら、自社サイトよりもECモールの方が安心して買い物ができるというユーザーが多く、ECモールに出店しているお店へ誘導した方が転換率が高くなる可能性があります。自社サイトへの送客ばかりに気を取られて、転換率が下がってしまうと本末転倒です。一度、ECモールへの導線強化のために外部広告を活用し、どのような結果になるかを検証してみる価値はあると思います。

 

 

 

ページで勝負する

取り扱い商品点数が少ないお店に特に効果的な手法が、商品ページを強化する事です。商品の良さを最大限に表現するためには、商品ページ内のコンテンツ(商品説明や商品画像)のクオリティーはとても重要です。

 

 

自社で良いページが作成できない場合は、思い切って外注に出しても良いでしょう。短期間で販売が終了してしまう商品のページを作り込む必要はありませんが、定番商品として長い期間販売が継続できる商品に関しては、ある程度の初期投資を行なって、しっかりと売れるページを作成したいものです。最初にコストが掛かっても、長い間、その商品が安定して売れるのであれば、投資が先行したとしても、将来的には元が取れる可能性は高いです。

 

 

商品ページは無言のセールスマンです。ページのクオリティーはセールスマンの話術や販売力と同じであることを理解しておきましょう。

 

 

 

ユーザーが店舗に求める事は未来永劫同じ

ECは時代の流れに最も影響を受けやすい業種です。トレンドの移り変わりにより持て囃される商品や販売手法は異なりますが、ユーザーから支持されるお店の魅力は、今も昔も変わっていません。小手先だけの販売テクニックを駆使しても、お店としての魅力が伴っていないと、そのうち売上は頭打ちしてしまいます。

 

 

未来永劫変わらない「ユーザーにとってのお店の魅力」の強化なくして、売上を伸ばし続けることはできません。アフターコロナに向けて、今一度、お店の基礎体力を身につけるために、何から着手していくべきかを考えましょう。

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