安売りが招く「誤解」に注意を!
売り上げが思うように伸びなくなると、安売りをして売上を確保しようとする事が頭をよぎります。もちろん、安売りする事によって一時的に売上を伸ばすことはできますが、一方で確保できる利益を圧迫することが欠点として挙げられます。売上の成長が鈍化する度に安売りを繰り返していると、手元に残る利益が減ってしまうため、結果としてキャッシュフロー悪化に繋がる事が懸念されます。
明確な目的があり、それが店舗運営にとってプラスになるのであれば、安売りも販売戦略の一つとして取り入れたら良いと思いますが、その場しのぎに過ぎないのであれば決して得策とは言えません。
安売りをする目的はどのように考えれば良いのか?今回は安売りの意義について考えてみましょう。
安売りする目的
早速、安売りをする主な目的についてみてみましょう。
・在庫処分
リアル店でもよく実施される販売手法です。季節物や賞味期限が近い商品など、限られた期間内で販売しなければいけない商品がある場合は、価格を下げて短期間で商品を売り切ってしまう必要があります。一定期間を過ぎてしまうと商品価値がゼロになってしまう、もしくは処分費用が掛かって逆にマイナスになってしまう場合などは、できるだけ赤字を抑えながら安売りで処分しなければなりません。
・一時的にキャッシュフローを生む
仕入れ先への支払いサイクルと、手元に入るキャッシュとのバランスがうまく取れない場合、一時的に安売りすることでキャッシュを確保し、支払いに充てる必要が出てきます。もちろんこの手法でお金を回しながら、しばらく店舗運営を継続していくことは可能ですが、値引きして商品を販売している以上は手元に残るキャッシュは減り続けていきます。並行して利益を確保できる商品の販売戦略を実施したり、安売りしなくても商品が売れる方法を考えておかなければ、お金を回すだけの単純な安売りでは、店舗運営は長続きしないことを理解しておきましょう。
安売りすることでユーザーの支持を得ることができるのであれば、安売りしてもしっかりと利益を確保できる仕組みを構築する必要があります。仕入れ先と原価を交渉しながら、安売りしても利益が確保できる方法が無いかを模索していきましょう。
・店舗の知名度向上及び集客強化
モールのセール開催時などに大幅な値引きをして商品を販売するお店も多く存在します。セール開催時にはいつもより多くのユーザーがモールへ流入してくるため、店舗の知名度向上、集客強化のために値下げして商品を販売することも検討しても良いでしょう。しかし、値引きをすることで売れば売るだけ赤字が嵩むような値付けは決してしないようにしましょう。取扱商品や立場(小売店、問屋、メーカー)によって、同じ商品を販売するにしても、手元に残る利益率は異なります。商品の販売価格だけに意識を向け、利益が取れないにも関わらず、他店に販売価格を合わせることに何の意味もありません。周りの販売価格に惑わされることなく、その価格で販売できない場合は、潔く諦める勇気も必要だということを忘れないでください。
バーゲンハンターにご注意を
昨今、ECモール内でのセール開催時とセール非開催時の売上に大きな差が開くという傾向が強くなってきています。ポイント還元率が高くなる楽天市場の5の倍数日や、Yahoo!ショッピングの日曜日など、そのタイミングには大きく売上の山ができるけれども、イベントが終わった直後から売り上げが低迷してしまうという傾向が色濃く出てきています。消費者の立場からすると、「どうせ同じ商品を購入するなら、少しでもお得に購入したい!」という気持ちは理解できますが、店舗負担のポイント還元率を高めることで売上の最大化を目指すことは、決して良い販売戦略では無いということを理解しておく必要があります。
モール負担のポイント還元率に収まる範囲内での売り上げ向上は歓迎するべきですが、さらに店舗負担のポイント還元率を高めることでの売り上げアップは、決して得策ではありません。なぜなら、安売り商品を狙うユーザーは移り気で、リピーターとして定着しにくいからです。
最近では、メルカリを始めとして個人間同士で簡単に商品を売買できるようになりました。高いポイント還元率や、値引率で商品を購入したユーザーが、横流しで商品を販売していることも考えられます。バーゲンハンターの利益確保のために、自分のお店の利益を削ったところで、何の意味もないことを理解しておきましょう。
安売りする前に、商品が売れる理由を考えてみる
安売り以外にも商品が売れるための理由は複数存在します。ユーザーが欲しいと思う商品が、人目につきやすい場所に常に表示されていると購買へと転換しやすいですし、他店が在庫を切らしがちな商品が、常に安定供給できるとしたならユーザーが欲しいと思うタイミングで商品を購入する人もいるだろうし、その商品を求める人が多いマーケットで集中的に商品を販売することで売り上げアップにも繋がるだろうし、商品の良さを最大限に表現したページがあれば、価格を気にせず購入するユーザーを獲得することもできるだろうし、早い配送や丁寧な顧客対応など、商品以外の部分でのサービスを強化することでユーザーを囲い込む事ができるだろうし、安売り以外にも商品を購入してもらえる理由はたくさんあるのです。
特定の販売チャネルで、特定の顧客や競合店だけを相手にしているとなかなか気づかないことも、ユーザーが商品を購入する理由に意識を向けると、色々な売り方が見えてきます。ユーザーニーズを分析したいのであれば、一番手っ取り早い方法は商品レビューと店舗レビューを徹底的に読み漁ることです。自分のお店のレビュー件数が少ないのであれば、競合他店のレビューを読むことでユーザーのニーズを汲み取ることができます。全く違う商品を販売する店舗であっても、毎年賞を受賞している店舗のレビューを見ることで、ユーザーがどんな点に共感して、そのお店を利用したかを知る事ができます。
ユーザーのニーズを的確に把握することで、安売り以外の販売戦略が見えてくるはずです。値段を下げるのは一番最後に回して、その前にできるべき事に意識を向け、継続できる販売戦略の実施を目指してください。
Know-how
Ranking
Download