複数モール展開の意義を理解する

Date:2021.12.05

ネットショップを運営しているお店の中で、複数モールへ出店している店舗も多いと思います。以前は異なるモール間での在庫連携、商品ページの複製作業、受注処理業務など、異なるプラットフォームで店舗運営業務を一元化する事は非常に困難で、そう簡単には踏み出せませんでした。

 

 

しかしながら、昨今ではネクストエンジン、CrossMallをはじめ、在庫連携、ページ複製、受注処理など、異なるモール間で業務を一元管理できるツールが出てきたお陰で、簡単に多モール展開できるようになりました。

 

 

簡単に複数モールへ出店できる環境が整ってきたことを背景に、様々なチャネルで店舗を運営している会社も増えてきました。しかし、複数モールへ出店する本来の理由を理解しているお店は意外と少ないです。

 

「売上を少しでも増やしたい!」

 

そんな単純な理由だけで複数のチャネルで商品を販売するだけでは、多モール展開の本来のメリットを最大限に享受することはできません。多モール展開する上で、どのような考え方で運営をしていけば良いのでしょうか?今回は複数モール展開の意義について考えてみましょう。

 

 

 

 

売上を一極集中しないこと

多モール展開の最大の目的は、特定の販売チャネルの売上に一極集中させないことです。特定の販売チャネルに注力することで、業務の簡素化と効率化に繋がるかもしれませんが、その反面、大きなリスクが伴います。

 

 

・もし、そのモールの手数料が突然上がったら?

・もし、そのモールで強力な競合店舗が突如現れたら?

・もし、アルゴリズムの変更などで検索順位が大きく下がったら?

・もし、これまでの販売戦略が突然、通用しなくなったら?

 

 

予期せぬ変化によって、突然売上が大きく下がってしまうという危険性が伴います。売上が特定の販売チャネルに一極集中している場合、被る被害も大きくなるのです。突然の仕様変更などで運営母体が揺るがされることがないよう、売上は複数の販売チャネルで分散することをお勧めします。

 

 

 

 

あらゆる顧客へアプローチするための手段として考える

ネットショップで買い物をするユーザーは、少なくとも贔屓にしているモールがあります。楽天市場を利用する人は、楽天ポイントをお得に貯めたり、使ったりすることが目的だったり、Yahoo!ショッピングをよく利用する人はPayPayユーザーが多かったり、Amazonを利用する人は配送スピードや、定期的に開催されるタイムセールを目当てにしていたりと、ユーザーの目的によって優先的に利用するモールは異なります。もちろん、複数のモールを並行して利用するユーザーも存在しますが、大半はよく利用するモールが決まっており、そこで買い物する頻度が圧倒的に高いです。

 

 

複数の販売チャネルへ出店する理由として、ようにあらゆる目的のユーザーを最大限に取り込む狙いがあります。例えば100万円の売上を確保する場合、特定の販売チャネルで全ての売上を賄うよりも、33万円の売上を3つの販売チャネルで確保した方が、将来的に有望であると筆者は考えます。あらゆる顧客へアプローチし、かつ、シェアを分散しながら売上を伸ばすことができると、リスクを最小限に抑えながら売上を伸ばすことができます。万が一、打ち上げが減少することがあったとしても、一気に下がるリスクを回避でき、売上の下がり幅を調整しやすくなるというメリットがあります。一方、各モールにはそれぞれ売上を短期間で伸ばすためのイベントやキャンペーンがあるため、お得に買い物をしたいユーザーの売上を交互に取り込む事によって、売上の最大化にも繋がります。

 

 

同じ金額の売上を確保するにしても、どの販売チャネルで売れたのか?また、全体の売上構成比はどのように分散されているのか?によって、意味合いは異なってくるのです。

 

 

特定の販売チャネルを利用するユーザーだけにアプローチするのではなく、あらゆる顧客へアプローチした方が売上を伸ばしたり、もし下がった時の対策を考えたりする上で対策が取りやすいことを認識しておきましょう。

 

 

 

 

ユーザー属性によって売れる商品が異なる

各販売チャネルごとにユーザー属性が異なると、売れる商品もモールによって異なってきます。例えば、楽天市場で売れにくい商品が、Yahoo!やアマゾンの方が売れるという事も珍しくはありません。取扱商品がどのモールで売れやすいかは実際に出品してみないと分かりません。「どのモールでどの商品が売れやすいのか?」を知る事ができれば、商品の販売戦略が広がることは間違いありません。

 

 

また、不良在庫の処分に困った場合、特定の販売チャネルで処分するよりも複数モールで販売する方が早く処分できます。モールごとのユーザー属性が異なり、出品されている商品や販売価格も異なるため、様々な条件下で色々なユーザーの目に触れる機会が増えるからです。確率論で考えると、特定のユーザーの目にしか入らない売り方と、様々なユーザーの目に入る売り方のどちらが効果的かを考えてみると、自ずと答えは見えてきます。

 

 

 

リスク分散と販売の最大化、そして広い客層へのアプローチ

複数モールへの展開は、特定販売チャネルに特化した売上の一極集中によるリスクを回避し、さらに、広い客層へアプローチできるメリットがあります。在庫連携ツールや異なるモールへの出品作業、受注処理作業も簡単に一元化できるようになった昨今、特定モールでだけの販売は時代遅れと言っても過言ではないでしょう。複数の販売チャネルで商品を販売することで、新たな売れ筋商品や、販売戦略の発見が期待できます。もともと、特定のモールメインで販売していた店舗が、異なるモールへ出店したところ、新しく出店したモール方が売上が大きくなったというケースも珍しくはありません。

 

 

時代の流れとともにユーザーのニーズも変化していき、どの販売チャネルの方向性がユーザーに支持されるかを的確に予測することは困難です。将来、トレンドの波に乗れるか乗れないか?は、色んな事に積極的に取り組んでいる店舗にだけ与えられる特権なのです。

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