2023年年末商戦予測

今年も残すところ3ヶ月となり、年末商戦へ向けて販売戦略を考えているお店も増えてきているのではないでしょうか？コロナ禍以降、世の中は大きく変化し、消費者の購買意欲が高くなるタイミング販売予測が難しくなってきました。その時のトレンドに合わせて的確に販売計画を立てないと、予想以上に過剰在庫を抱えてしまったり、逆に予測が下振れし過ぎると売上を思うように確保できなかったりします。

今年の年末商戦トレンドはどうなるのか？そして、どのように販売予測を立てていけば良いのか？今回は年末商戦へ向けての販売戦略について考えてみましょう。

・逆風のEC業界

今年の年末商戦は、ズバリ昨年と比較してダウントレンドとなるという見方が無難です。コロナによる行動制限がなくなり、人々は自由に外出できるようになりました。これまでは行動制限により自宅で過ごす時間が大幅に増えたため、消費者の購買ニーズがECへ集中しましたが、リアルショップでの買い物、外食、旅行など、外出先でお金を使う機会が増えてききたため、ネットショップで買い物をするための予算が大幅に減少しています。そういった世の中の流れを考慮すると、昨年対比で年末商戦トレンドが下がるという見方は、ごく自然な見解となります。

しかしながら、ネットショップを営む以上は、消費者ニーズが高まる年末商戦へ向けて売上を最大化する方法を考えなければなりません。どんな時代においても、時流に合った適切な販売戦略を実施する事により、売上を最大化することは可能です。直近のトレンドを見ながら、年末商戦へ向けての販売戦略を考えてみましょう。

・直近のECトレンド振り返り

2023年9月は、EC業界全体が非常に苦戦する月となりました。苦戦した主な理由は、ふるさと納税のニーズが高まり、返礼品を申し込むユーザーが増えた事です。結果、一般店舗で商品を購入するニーズが減少し、売上の成長が鈍化したという見方ができます。ふるさと納税に関しては、返礼品率の見直しが行われ、2023年10月1日より施行されました。実質、自治体から提供される返礼品が目減りする事となり、そうなるのであれば、返礼品率見直し前にふるさと納税を申し込んでおいた方が良いと考える消費者が、挙ってふるさと納税の返礼品を申し込む動きが活発になりました。

ふるさと納税は一般的に年末に申し込む人が多いですが、上記理由により今月は前倒しによる特需が発生しました。結局は税金として支払う必要があるお金ですが、実際に家計から先にお金が出て行くため、結果、ECで商品を購入する予算が減少したことが、EC業界全体の苦戦を強いられる結果となったという見方が最も一般的です。

・消費者の購買行動を理解する

 最近の消費者の購買行動は、「欲しい時に買う」よりも、少し待ってでも「お得な時に買う」人が多くなってきています。実際に、おせち料理など、年始に必要な商品が8月頃から販売が開始され、9月に開催される楽天スーパーセールの総合ランキング上位を占める現象が起こっています。もちろん、早割で販売を行うため、シーズンに入ってから購入するよりも、かなりお得に購入できるというメリットがあります。「どうせ、いつか買うなら、お得なタイミングに購入してう！」と考えるユーザーの購買行動を象徴するような代表例です。

 これらの購買行動から販売戦略を考えると、年末に最も売れる商品であったとしても、できるだけ早いタイミングから販売を開始し、勝負をかけた方が賢明という事になります。

・年末商戦へ向けて取り組むべき事

年末商戦へ向けて取り組むべき事は、ズバリ、早めのタイミングからセールを仕掛けるという事です。年末は消費者の購買意欲が向上しますが、他店との競争も激化します。そのタイミングで思うように商品が売れない状況が続くと、さらに値下げ合戦が激しくなります。結果、どんどん利益率は目減りしてしまい、売上を確保するたびに損失が嵩んでしまう事態を招きかねません。

すでに家電メーカーや大手量販店などがポイント還元率の引き上げや、期間限定クーポンなどを配布して販売を強化したり、早割で年末によく売れる商品をお得に購入できるキャンペーンを開催しています。それらのお店は、年末商戦の厳しさを予測して、事前に手を打ってきているのです。

早めにセールを開催するメリットは、競合が少ないうちに売上を確保できる以外にもあります。それは、シーズン前に販売実績を積む事により、ランキングに入賞したという実績を作ることや、ユーザーが商品を購入する前に参考にする商品レビューを事前に集める事ができるという点です。シーズンに入る前に実績を積み上げておくことで、シーズン中にはベストの状態で販売する事ができます。

早め早めのキャンペーン実施を意識することで、着実に売上を獲得する事が今の時流に合致した販売戦略だと言えるでしょう。