2020年楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー受賞店舗から見る店舗にとって大切な事
2021年1月27日、2020年の楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー(以下略してSOY)受賞店舗の授賞式がオンラインで開催されました。楽天出店店舗約5万店の中から、ジャンル賞、サービス賞、特別賞、総合賞など、合計で148店舗が受賞しました。
今年のSOY受賞店舗は、昨年、一昨年と比較して今の時流を象徴するような傾向があります。その傾向から、今のECトレンドを分析してみましょう。
SOY受賞の条件
SOY受賞の条件は公には公表されておりませんが、筆者が独自に収集した条件(推測を含む)をおさらいしておきましょう。
・各ジャンルで年間の流通総額が上位であること
・昨年対比で売上が110%を超えていること
・注文件数が多いこと
・店舗レビューが高く一定水準を超えていること
・ユーザー投票数が多いこと
・年間を通じて違反点数が科せられていないこと
過去に受賞した店舗の傾向から推測すると、上記条件を全てクリアしている店舗はSOYを受賞できる可能性が高いと考えられます。なお、あくまでも受賞基準の詳細につきましては公表されておりませんので、あくまでも目安として考えて頂けると幸いです。
今年受賞した店舗の傾向
今年SOYを受賞した店舗は、楽天市場内でレジェンド店舗と称されたメジャー店舗が多かったです。全受賞店舗148店舗中、初受賞の店舗は僅か27店舗で、受賞店全体の80%以上は過去に受賞経験がある店舗が受賞しています。筆者が考えるSOY受賞条件が正しいと仮定すると、今回受賞した店舗はコロナ拡大によるEC特需が大きく影響したと考えられます。
各ジャンルでTOPを走る店舗は、すでに楽天市場内での流通総額は頭打ちで、昨年に対して10%も売上を上積みすることは並大抵ではありません。すでに大きなシェアを占めているにも関わらず今以上に売上を伸ばすためには、新規ユーザーを獲得するか、競合他店のユーザーを奪い取るしか選択肢は無く、いずれにおいてもコストと労力に大きな負担が掛かります。SOY受賞だけを目指して突っ走ると、難しい事かもしれませんが、店舗の利益率が悪化したり、店舗運営自体に歪みが生じるような戦略は得策ではありません。今年に関してはコロナ拡大の影響で楽天市場への新規ユーザーが増加し、その分の売上が上手い具合に上乗せされた事が受賞に大きく関わったと言っても過言ではないでしょう。
また、一昨年に売上を大きく落とし、昨年になってコロナの影響で売上がプラスで10%以上伸びた結果、受賞に至ったケースもあるかもしれません。10%以上の成長率が受賞条件であった場合、昨年の売上に対して10%以上の成長があれば条件はクリアーとなり、一昨年に大きく売上を落としたことは、かえってプラスの要素として働きます。毎年成長し続ける必要は無く、あくまでも昨年対比で売上が一定のバーを超えていれば良いのです。
SOY受賞への道は優良店として「当たり前の事」の積み重ね
コロナの影響により追い風が吹いた格好になった2020年でしたが、SOYはそもそも良い店舗運営を当たり前のようにコツコツと積み重ねてきた店舗だけが受賞できる賞です。そのためには強固な店舗運営基盤が必要です。表面的な小手先だけのテクニックだけで売上を伸ばしたとしても、その戦略が継続できないものであれば、売上の成長はいつかは止まってしまいます。また、一気に多くの注文が来たとしても、その受注を処理できるシステムやノウハウ、出荷能力が必要になってきます。さらに売上を最大化するための仕入れ能力や、仕入れた商品を置く場所も必要となります。売上の成長に伴って、今までと同じやり方ではその先の成長は望めません。
これらを全て経験し、壁を乗り越え、小さな努力を積み重ねていった店舗がパワーセラーとなり、SOY受賞に近づいていくのです。コロナ特需だからと言っても、現状は成長している店舗もいれば、成長していない店舗も存在します。同じ商品を販売していても、売っている店舗と売っていない店舗が存在します。その違いは何でしょうか?それは当たり前の事がしっかりと出来ているか?出来ていないか?の違いだと筆者は考えます。いくら追い風が吹いたとしても、その風に乗ろうと意識しなければ、乗ることは出来ません。
目先の売上だけを目指すのであれば、売上を伸ばすテクニックはあるかもしれませんが、結局、店舗運営にとってもっとも大切な事は強固な基盤を固めることであり、その基盤こそが成長する上で最も重要な要素であるということを再認識しましょう。
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