販売チャネルの優勢・劣勢の見極め方
ECというビジネスモデルは時代の流れにとても敏感で、時として突然、思いどおりに行かなくなることがあります。売上げが伸び悩んだり、利益率が下がったり、商品が思いどおりに確保できなくなったりなど、同じやり方を継続していれば、いつまでも今の状況が続くとは限りません。
今までとは違う異変を感じたとき、何を基準に正しい方向性を見極めれば良いのでしょうか?そのために必要な着目点について考えてみましょう。
売上げだけが全てではない
ネット販売を営む上で、売上げはとても大切な指標です。売上とお店の成長はイコールと言っても過言ではありません。しかし、売上がいくら伸びても利益が確保できなければ意味がありません。商品の仕入れや、人件費、店舗運営にとって必要な経費は、すべて利益から賄われているのです。
健全なネット店舗運営を目指すのであれば、売上と利益のバランスを上手に取りながら、健全に売上を伸ばしていく必要があります。しかしながら、売上の成長と共に利益とのバランスを整える事が後回しになってしまうお店が多いことも事実です。売上を伸ばすことだけに意識が向いてしまい、過度な値下げや必要以上の広告費を費やして売上を伸ばそうとした結果、利益が確保できなくなり、健全な店舗経営が継続できない事態に陥ってしまうことも珍しいことではありません。
もちろん、ネット販売を始めた当初は儲かっていたが、競争の激化や時代の流れに影響され、思うように売上が伸びなくなったと言うお店も少なくはないでしょう。また、新しい仕入れを生みたいが為にキャッシュフローを最優先で考え、利益度外視で販売を続けているお店も多々見受けられます。
しかし、よく考えてみてください。どこかで歪みが生じる売り方はその場しのぎの延命処置でしかなく、継続することができない販売戦略なのです。自転車操業状態になってしまうと、なかなか現状を脱することは困難になってしまいます。そうならないためにも、どのような心構えでネットショップを運営していくべきかを再考しましょう。
販売チャネル毎に利益率を計算する
楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon、自社サイトなど、複数の販売チャネルへ出店している方も多いと思います。そこで質問ですが、毎月々の利益率を販売チャネル毎に分析しているでしょうか?「ネット販売」と、ひとまとめにして利益計算をしていませんでしょうか?もし、全ての販売チャネルでの収益をひとまとめで「どんぶり勘定」しているとなれば、その考え方は今すぐ見直す必要があります。なぜなら、各販売チャネル毎の利益率は、モールの方針1つで大きく変化してしまうからです。
すべてのネット販売から得た収益をひとまとめで管理していると、利益率が良くなった店舗、悪くなった店舗、広告の費用対効果が良くなった店舗、悪くなった店舗の判断が付かなくなります。仮に利益率が良くなった店舗の利益額が増えて、利益率が悪くなった店舗の利益を賄えたとしても、プラスマイナスで大丈夫と見なすのではなく、利益率が悪くなった店舗の利益改善策を最優先で考えられる発想を持ちましょう。
売上が大きくなってしまうと、売上げを下げたくないという意識が邪魔して、なかなか利益率を見直す事も難しくなってしまいます。利益率がコントロールできる段階で手を打つことが、後々にとってとても重要な判断となるのです。
販売チャネル毎に優劣を付ける
多モール展開をしているのであれば、その時々(できれば月単位)で販売チャネル毎に優劣を付けてください。売上金額は低くとも費用対効果が良く、売上の成長率が高い販売チャネルが優勢、売上が伸ばせたとしても、広告費をはじめ経費が掛かりすぎてしまう販売チャネルが劣勢と位置付けてください。最もスマートな販売戦略は、利益率が高く成長率が高いチャネルにリソースを割くことです。ただ、売上の成長を急ぎすぎると、途中で利益率が下がってしまうリスクが伴いますので、焦らずじっくりと売上を伸ばして行ってください。
特定の販売チャネルでの売上比率が高すぎると、そのチャネルで売上が思うように伸びなくなった時が非常に危険です。特定の販売チャネルに依存するのではなく、常に複数の販売チャネルで上げを分散しながら成長していくことを念頭に置きましょう。
利益低下が将来への投資に繋がるのかを判断する
もし、何か明確な目的があって一時的に利益率が低下しているならば話は別です。例えば、利益改善の一環として自社サイトでの売上を伸ばすための先行投資であったり、作業効率を良くするためのシステムへの投資であったり、商品をより多く置くことができるようになるための倉庫拡大であったりなど、将来的に利益コントロールがし易い環境作りや、作業効率の向上によって生産性が上がる見込みがある先行投資であれば、一時的な利益率低下は意味があることと言えます。
将来のために生きたお金を使っているという確固たる自信があるのであれば、問題はありません。
できるだけ的確に、かつ詳細に現状を見極める
いつ、どんな事が起きても現状を的確に把握できていれば、改善のための糸口は簡単に見つけることができます。一方、大雑把な管理をしていて、今、発生している問題の原因が分からないと言うことであれば、それは危険信号です。
「なぜ商品が売れない?」「なぜ売上が上がらない?」「なぜ利益率が改善しない?」
その理由を常に明確化ための仕組みはどんな仕組みなのか?を日々、自問自答していきましょう。
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