記念日商戦の取り組み
母の日、父の日、バレンタイン、ホワイトデー、クリスマスetc…日本には数多くの記念日が存在します。記念日ごとに決まって売れる商品を短期的に集中して販売する戦略を、ここでは「記念日戦略」と名付けます。
EC業界では、この記念日戦略にターゲットを絞って特定の商品をできるだけたくさん売る戦略を実践してくるお店が数多くいます。ところが、昨今ではこの記念日のタイミングで敢えて販売を強化しないお店も増えてきました。今、ネット販売の記念日戦略はどんな状況になっているのでしょうか?今日は近況を交えて記念日戦略の今について考えてみましょう。
母の日に見る異変
つい先日(2019年5月12日)は母の日でした。母の日に売れる最もメジャーな商品はカーネーションです。ネット販売店のみならず、実店舗でもお花屋さんでは1年の売上の多くを、この母の日に獲得します。ネットでお花を販売しているお店にとって母の日はまさにかき入れ時。。。こぞってカーネーションをたくさん販売しようと、広告を活用して露出を高めます。
しかしながら、最近では母の日に敢えてカーネーションを中心とした商品のプロモーションを行わないお店が出てきました。大手ショッピングモールの母の日特集広告でも、毎年、広告を掲載しているお店が入れ替わっているのです。
なぜ、一年で一番のかき入れ時のタイミングで広告を販売を強化しないのでしょうか?
一体なにが起こっているのか?
母の日のタイミングで広告を掲載しないお花屋さん多くは、「広告費の高騰」を嘆いています。特定の記念日などで組まれる特集広告枠は通常の広告枠より割高で、非常にコストが掛かってしまうという欠点があります。また、同じ商品で広告を掲載する店舗が多いが故に起こる現象として、価格競争が存在します。勘の良い方はこの段階ですでにお気づきかもしれませんが、高い広告費を払って、さらに価格競争について行くために利益を削って商品を販売しても利益が残らないのです。ましてや、特定の日にだけ通常の何倍、何十倍も商品が売れると、受注処理や発送業務を担う人的リソースの確保が困難になります。
最近ではそんな大きなリスクが伴う記念日商戦に、敢えて「参加する必要があるのか?」と疑問を掛けているお店が増えてきているのです。
継続できる戦略以外は戦略でない!?
筆者の主観で申し訳ないですが、ECにおいて継続できない戦略は、戦略ではないと思っています。なぜなら、無理して一時的にお金や人的リソースを投資しても、それができなくなった時点で元通りに戻ってしまうからです。販売戦略を考える上で、継続できるかできないか?を、ぜひ判断基準として考えてください。
理想は普段のベースアップを積み重ねる事
ECにおいて最も重要なことは、普段の売上のベースアップを目指すことです。少しずつでも構いません。毎年売上が伸びていくことが重要です。徐々に新規のお客さんの数が増えて、それに比例してリピーターの数も増えていくことが理想的です。新規顧客の獲得から、リピーターへの育成戦略がしっかりとできているのであれば、短期的に広告に投資してお客様を取り込む事は効果的な販売戦略だと思います。
実はベースアップを目指す戦略こそが、周りに影響されることが最も少ない最強のEC戦略なのかもしれません。
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