売りたい商品と売れている商品
売上げ成長戦略を考えていく上で、必ずと言って良いほどぶち当たる壁があります。それは「何を売って売上げを伸ばすか?」という問題です。当たり前の事ですが、この見極めがしっかりとできないと店舗運営はいつしか行き詰まってしまいます。
売上が成長していく過程で、売れ筋商品の構成とバランスはとても重要な要素です。では、どのような考え方でこの問題を解決していけば良いのでしょうか?売りたい商品と売れている商品のどちらに比重を置けば良いのでしょうか?今回は取扱商品の売上構成について考えてみましょう。
最優先事項は利益が確保できる仕組みを作ること
どんな商品を販売するにしても、利益が確保できないと商いとして成立しません。利益を残せる仕組みを作らない限りネットショップとしての継続的発展はあり得ないのです。従いまして、まずは何を売って売上げを伸ばすかを考える前に、何を売れば利益を残しながら成長し続けられるか?を念頭に置きます。
仕入れが簡単な商品は入手しやすい分、競争も激しくなります。取扱店舗が多ければ多いほど、価格競争も激しくなり、利益確保が難しくなります。入手しやすい商品を販売し続けて利益を確保するためには、仕入れボリュームを増やすことなどで仕入れ原価を安くしたり、他の業者が仕入れることができない安い独自ルートを開拓するなどの工夫が必要となります。いずれにせよ、他社でも簡単に仕入れができる商品を販売し続けるためには、経費を抑えて安く売る仕組みを考えなければなりません。
一方、ニッチな商材やオリジナル商品などで、敢えて競争を避けながら商品を販売する戦略もあります。その場合は売り方を工夫しなければ簡単に売れるようにはならないので、ある程度の広告費を捻出できるように利益率を高めに設定する必要があります。利益率を高めに設定しても、競争が少なくて、かつ、消費者のニーズがあり、売れたらしっかりと利益が確保できる商品であれば、取り扱いに挑戦してみるのも良いでしょう。
どの商品を、どれぐらいの構成比で販売すると利益を確保しながら売上げを伸ばしてきえるのか?まずは、その仕組み作りを意識しましょう!
売れている商品=売りたい商品ではない
時として、売りたいと思っている商品よりも、売れても売れなくてもどちらでも良い商品の方がよく売れる場合があります。利益率が高く、在庫が豊富にある商品が売れたら言うことはないですが、在庫が少ない商品や、利益率が低い商品がユーザーニーズの移り変わりの中で、たまたまヒットして売れ筋商品になってしまう事があるのです。
こんな時、皆さんはどんな決断をしますか?
・今売れている商品は儲からないので、売り切れ次第、取り扱いを止める?
・取りあえず、売れるので在庫を補充して販売を継続する?
売上を伸ばす上での判断は、ズバリ後者で、在庫を補充して販売し続けることをお勧め致します。継続的に商品を供給しながら利益が確保できるよう、仕入れ条件が有利になるためにはどうすれば良いのかを同時に考えていきましょう。自然と売れる商品を販売して利益が確保できるようになれば、全体の売上げを伸ばしていく上での大きな柱になり得ます。
売りたい商品が全てヒットすれば苦労はしませんが、世の中そんなに甘くはありません。予期せぬ商品が突然売れるということは、販売予測が結果として外れた事と同じです。しかしながら、その商品が市場で支持されていることに気付かせてもらう切っ掛けとなったのであれば、その気付きを活かしながら、売れる商品を売りながら利益を確保できる方法に意識を向けましょう。消費者のニーズと取扱商品がマッチすることこそが成長の切っ掛けであり、そのチャンスは決して逃してはいけません。
ただし気をつけなければいけないこともあります。突然売れた商品が短期間の一過性のものであり、そのブームが長続きしない物であれば、早めのタイミングで見切りを付けないと後で痛い目に遭います。少なくとも中長期的に売れていくことが最低条件となりますので、その点は肝に銘じておきましょう。
売りたい商品よりも売れる商品で利益を確保できる仕組みを考える。売りたい商品を売る仕組みを考えるのは、売れる商品を売って利益を確保できる仕組みを作ってからでも遅くはありません。「売りたい商品」と「売れる商品」はイコールではないということをしっかりと認識しながら、効率良く売上げを伸ばす方法を考えましょう。
市場のニーズに柔軟に対応することが大切
先日、テレビでユニクロの柳井さんインタビューを観たときの話です。今ではユニクロの中で大ヒット商品となったマスクですが、コロナが拡大した直後、柳井さんはマスクを作らないと話していたそうです。では、なぜ作るようになったのでしょうか?それは、消費者のニーズが予想以上に大きかったからだそうです。
一度、「ノー」と判断したことでも、時代の流れや消費者の嗜好の変化に合わせることが正しいと判断した場合、過去の決断を覆してでも、ユーザーのニーズに合わせる柔軟性が大切です。
ユニクロはメーカーで、消費者のニーズに合った商品を開発して製造することができますが、小売りに特化した店舗の場合、簡単に商品を製造することはできません。しかし、ユーザーのニーズに合った商品を探して仕入れることは可能です。売りたくない商品であっても、消費者のニーズが高まっていると感じた場合には、その商品を売って販売するぐらいの柔軟性を持つ必要があります。
しかしながら、いくらユーザーのニーズが高かったとしても、現在販売している商品との関連性が全く無かったり、既存顧客との親和性が低かったり、利益を確保することができない場合は、むやみに手を出さない方が無難です。しっかりと現状を分析した上で判断をしましょう。
時代の流れに合わせて取扱商品を見直していくことは、時代の最先端である小売業にとっては避けることができない宿命ではありますが、本業から大きくかけ離れた分野での勝負は予測できないリスクが伴う危険がありますので注意しましょう。
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