卸しの必要性
商品を製造販売するメーカーや、自分のところでしか扱えない商品の仕入れルートを持っているお店にとって、「商品を他店に卸すか卸さないか?」について一度は悩むことがあるでしょう。
卸しをすることにより得られるメリットはいくつかありますが、その反面、デメリットも存在します。卸しを始める前に考えるべき事は何か?その重要なポイントについて見てみましょう。
卸しのメリット
卸しをする主なメリットは以下の点が挙げられます。
・販路拡大
これまで自社の小売りルートだけに頼っていた販売経路が、卸しを通して一気に拡大します。卸先で商品を販売してもらう事により、他店の販売力を借りることによって販路が拡大します。
・売上増加
自社の小売り以外に、卸しによる新たな売上増加が見込めます。このことにより会社全体の売上増加へと繋がる事が期待できます。
・売上が安定する
エンドユーザーだけを頼りにする単価が低い小売り販売に加え、卸しが加わることにより一回の取引でより大きな額の商いが増えます。結果、売上の安定に繋がる事が期待されます。
・商品のブランディングが加速する
自社の限られた販売チャネルのみならず、卸先での販売力を利用することで、今まで以上に多くのユーザーへアプローチすることが可能になります。結果、その商品やブランドを目にするユーザーの数が増え、商品名やブランド名の知名度向上が見込めます。
・製造原価が安くなる
卸しを通じて今まで以上に商品を出荷するボリュームが増えることで、製造原価の低下が見込めます。
このように卸しを行うことで、小売りだけに特化していたときよりも様々なメリットが発生します。うまく運用できれば、会社の売上成長に繋がる可能性が今まで以上に飛躍的に高まります。
卸しのデメリット
一方、卸しを行うことで発生するデメリットも存在します。主なデメリットは以下の通りです。
・卸し先に価格を乱される危険性が伴う
卸しを通じてその商品やブランドを取り扱う店舗が増えると、競争原理が働いて価格競争へと発展するリスクが増加します。販売価格の相場が下落し、イメージの悪化へと繋がる危険性が伴います。
・取扱高に応じて値切られる
卸先の取扱高が増えてくると、必ずと言って発生する事が仕入れ価格の交渉です。利益額が増加したとしても、全体の利益率の低下に繋がります。
・依存しすぎると止められない
卸しの取扱高が大きくなりすぎると、もはや小売りだけの状態には戻れなくなります。結果、卸しに依存する経営方針へと変わっていくことでエンドユーザーとの接点が縮小し、卸しへの依存度が高くなってしまうことが懸念されます。
・販売権を独占される危険性がある
卸先が大手販売店やECモールの場合、影響力が強すぎるため、実質販売権を独占される事が懸念されます。自分たちがもともと有していた独占販売権が、実質的に他社へと移ってしまう危険性があります。
卸しのメリットだけに意識が向きすぎて、デメリットは盲点になりがちです。卸しを検討する上で、これらの危険性をしっかりと理解しておく必要があります。
その場しのぎの判断は諸刃の剣
以上、卸しの主なメリットとデメリットを見てきました。これらの利点と欠点を事前に理解した上で、卸しを始めるための理由(優先項目)をしっかりと見据えておきましょう。卸しを始めるのは、何のためか?実際に開始してから方向性を見失わないよう、目的意識をハッキリと持っておく必要があります。
単に目の前の売上を伸ばすためだけに卸しに踏み切ることは、決して得策ではありません。あくまでもメリットがしっかりと享受できるように、しっかりと計画を練った上で踏み切ることをお勧めします。卸しの売上構成比がどんどん大きくなっていき、自分ではコントロールできずに後で悔することがないよう、慎重に検討していきましょう。
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