Yahoo!ショッピングの販売戦略

Date:2023.07.22
目次

※Yahoo!ショッピングの広告メニュー
※広告運用の落とし穴
※広告費率の調整
※利益>売上

楽天市場、Amazonと並んで、複数モール展開をしている方が出店しているお店としてYahoo!ショッピングがあります。日本国内で大手3大モールと呼ばれるこれらの販売チャネルですが、いずれもECモールでありながら売り方や売れる商品が異なります。

 

 

筆者の主観になりますが、上記3大モールの中で最も売上が作りやすいモールがYahoo!ショッピングではないかと思います。なぜなら、もともと検索ポータルサイトであるYahoo!Japanを利用しているユーザーが多いため、検索経由で商品を購入するユーザーが多く、検索結果の上位に表示させる戦略に注力する事で、売上を伸ばせる可能性が高くなるからです。

 

 

しかしながら、検索至上主義であるYahoo!ショッピングの性質を理解しながら、堅実に売上を伸ばしていくためには、広告費と売上の収支をしっかりと管理しながら運用していく必要があります。今回は健全なYahoo!ショッピングの販売戦略について考えてみましょう。

 

 

 

※Yahoo!ショッピングの広告メニュー

Yahoo!ショッピングでは、検索結果上位に商品を表示させる広告として、アイテムマッチ(ストアマッチ)とPRオプションがあります。アイテムマッチは上位表示させたい商品と、1クリック当たりのクリック単価を設定することで検索結果のより上位に表示させるクリック課金型の広告です。一方、PRオプションはYahoo!ショッピング特有の広告で、商品が売れた際に支払う手数料の料率を設定することで、検索結果の上位に表示させる広告です。アイテムマッチはクリック単価を、PRオプションはユーザーが購入した際に支払う料率を、それぞれ高く設定することで検索結果のより上位に表示させることができます。アイテムマッチはコンバージョンが高い商品向け、PRオプションはコンバージョンが低い商品に向いている広告と言えます。

 

 

その他、店舗によって参加できるメニューが異なる「ストア限定キャンペーン」、バナー・テキスト広告、特定の日にポイント還元率を高くする倍々ストアキャンペーンなど、検索以外から動線を確保する広告がいくつか存在しますが、検索経由で購入するユーザーが多いということは、広告導入を検討する上で優先順位が高くなる広告はアイテムマッチかPRオプションになります。検索連動型広告と、その他の広告を組み合わせて活用することで売上最大化に繋がります。

 

 

 

※広告運用の落とし穴

Yahoo!ショッピングの広告運用は非常に簡単で、あまり店舗運営経験がない人でも運用が可能です。アイテムマッチは商品を選んでクリック単価を入力するだけで設定できます。検索キーワードなどは設定する必要がない事と、検索上位に表示させる上での目安入札価格が表示されますので、商品を上位表示させる上でのテクニックはありません。また、PRオプションに関しても複雑な設定はなく、ユーザーが商品を購入した際に支払う手数料率を設定するだけで検索結果上位に表示されやすくなります。

 

 

いずれの広告も費用対効果を管理メニューから確認することができますが、設定が簡単故に、最初に設定した状態のまま広告を放置してしまい、思ってた以上のコストがかかってしまっている事に気付かないケースが多々あります。本来であればクリック単価やPRオプション料率はイベント開催のタイミングやトレンドに応じて頻繁に調整する方が費用対効果が上がります。しかし、広告運用経験が少くても簡単に運営できてしまうので、いつの間にか効果が下がっていることに気付きにくい落とし穴があります。さらに、ポイント還元率をアップする広告などは、システムの関係上、月をまたいで請求金額が確定することがありますので、月毎で広告比率を算出する場合は気をつけなければなりません。タイムラグが発生する広告を運用を行う場合は、コスト管理に細心の注意を払いましょう。

 

 

 

※広告費率の調整

広告の運用が簡単なので、他のモールよりも売上が作りやすいモールという錯覚に陥るかもしれませんが、売上ばかりを追いかける事に意識が向きすぎると、利益率を圧迫していることに気付き辛くなります。売上が順調に伸びたとしても、利益が残らないのであれば、その販売戦略は継続する事ができません。

 

 

検索結果を有利に表示させるためには、思いの外、広告費が嵩んでしまいます。そのコストを見越して、敢えて販売価格を高く設定して広告費を捻出し、アイテムマッチやPRオプションを活用して上位表示させるお店もあります。Yahoo!ショッピングだけを利用しているユーザーを対象に考えるのであれば、そのやり方が成立するかもしれません。しかし、他のモールでも同じ商品を販売していて、そちらの方が安い価格で購入できるのであれば、そっちへ流れてしまうユーザーも多く存在する事を予め理解しておかなければなりません。さらに、同じお店が販売チャネル毎に異なる価格で商品を販売することは、消費者の信頼を損なうリスクも伴いますので気を付けましょう。上記戦略を実施するのであれば、運営母体が同じ会社であっても、店舗名を変更するなどの工夫を凝らしてみましょう!

 

 

 

※利益>売上

ネットショップを運営する上で、まず最初に売上を作らなければなりませんが、ある程度の売上が見込めるようになってきたら、いかに利益を残していくか?という考え方にシフトしていかなければなりません。利益を確保しつつ、売上を伸ばすことができれば、それに越したことはありませんが、その域に達するまでは色々と試行錯誤が必要です。

 

 

売上を伸ばす事により仕入れに対する支払いなどが楽になった気がしますが、利益が残らない状態で売上を伸ばしていくと、売上を伸ばし続けるしかなくなり、売上が下がった段階で、大きなピンチを迎えてしまいます。利益額が大きくなれば、多少、利益率が下がっても問題ないかも知れませんが、いずれにせよ継続出来ないやり方は、できるだけ早い段階で方向性を見直さなければなりません。

 

 

ある程度の売上まで到達したら、定期的に売上と広告費のバランスを確認し、あまりにも広告費が掛かり過ぎているという事であれば、思い切って広告費を大幅に縮小してみてはいかがでしょうか?仮に売上が半分になっても、手元に残る利益が同じであれば、そちらの方が上だと思います。売上を大きくして、取引先との条件を有利にしたり、銀行からの融資を受けやすくしたりする戦略が間違いとは言いませんが、それが継続できる戦略なのかどうか?を見極めることが重要であることを忘れないでください。

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