年末商戦へ向けての取り組み方(2022年度版)
※昨年よりECトレンドは低くなると予測
※リスクを最小限に抑えた販売戦略を考える
※サービスレベル向上を優先的に考える
※昨年対比でアップトレンドになるジャンルもある
※予測が難しいタイミングこそ堅実な店舗運営を
間もなく年末商戦が始まります。一年で最も消費が高まる時期ですが、事前にトレンドを予測した上で販売計画を立てていかないと、売上が思うように伸びなかったり、過剰在庫で資金繰りが悪化したりと、大きな危険が伴います。
2022年の年末はどのようなECトレンドになりそうでしょうか?予測してみましょう。
※昨年よりECトレンドは低くなると予測
2022年年末のECトレンドは昨年よりも低くなると考えられます。2021年の年末は外出を自粛する人が未だ多く、自宅で過ごす時間がたくさんありました。結果、ネットに接続時間が多くなり、それに比例してネットショップで商品を購入する人が増加しました。おうち時間を快適に過ごしたいというニーズの高まりもECトレンドの向上に拍車を掛けました。
一方、2022年の年末はどのようになるでしょうか?結論から申し上げると、ネットショップで買い物をするユーザー数、および金額は減少すると考えた方が無難です。トレンドが下がる要因として、以下の事が考えられます。
1.コロナ感染を気にする人が減少し、外出する人が増えたこと
2.リアル店舗の営業時間が通常に戻り買い物客が増えたこと
3.全国旅行支援キャンペーンにより物販以外にお金を使う目的が増えたこと
4.円安の長期化で実質的な物価上昇傾向にあること
5.先行きが不安なため消費者の財布の紐が固くなっていること
昨年と比較すると人々の考え方は大きく変化しているため、ネットショップに与える影響は大きいと予測できます。
※リスクを最小限に抑えた販売戦略を考える
売上は仕入れの量に比例して伸びます。しかしながら、ろくに販売実績がない商品を闇雲に大量に仕入れると、思い通りにトレンドが推移しなかった場合、在庫が余ってしまうリスクが伴います。昨年対比でトレンドの下振れが予測できる場合、仮に売れ残っても後で売り切る事が容易な商品を中心に仕入れを検討しましょう。直近の売上構成比からトレンドに合致した人気商品をしっかりと分析し、データに基づいた仕入れ計画を立ててください。
年末に販売数が伸びる季節商材などは、旬の時期が過ぎると全く売れなくなってしまいますので、コロナ禍によるEC特需が始まる前の販売実績を基準に仕入れ量を検討するとをお勧めします。コロナの影響でEC業界の売上推移を予測することが非常に困難となってきましたので、これまでの良かった時の売上を基準に予測を立てる事は大きなリスクが伴う危険性があることを理解しておきましょう。
※サービスレベル向上を優先的に考える
販売戦略を考える上で仕入れ計画は重要事項ではありますが、仕入れボリュームを増やす以外にも売上を伸ばす術はあります。それは、サービスレベルの向上です。売上に大きく左右するサービスは、配送スピードです。楽天市場の「あす楽」や、アマゾンのPrime配送など、注文日の翌日に配送できる商品の取り扱いを強化することで、確実に売上を伸ばす事ができます。理由は、購入した商品が翌日に届くことを望むユーザーは非常に多く、販売する商品が翌日配送に対応しているか否かが検索順位に影響するからです。検索順位上位に表示されることでユーザーの目につきやすくなり、結果、購入してもらえる確率が高くなるというカラクリです。販売実績が増えれば増えるほどランキングにも入りやすくなりますので、さらに販売数が伸びるという好循環が期待できます。もし、自社出荷での翌日配送対応が難しいようであれば、外部物流を活用した出荷も並行して検討してみましょう。
その他、ラッピング対応の充実も売上アップに繋がる可能性があります。年末商戦では贈答用のニーズが高まるため、購入した商品をラッピングして送ってもらいたいと考えるユーザーが増えます。些細なサービスと思われがちですが、需要が高まるタイミングにおいては一定期間でも対応するかしないかによって売上に影響を及ぼすということを認識しておきましょう。
※昨年対比でアップトレンドになるジャンルもある
EC業界全体のトレンドを考えるとダウントレンドの予測ですが、年末にトレンドが上向きになるジャンルもあります。それは、ファッション、コスメ、旅行など、コロナの影響で苦戦を強いられたジャンルです。これらのジャンルは外出自粛の煽りを受けて大きく売上が落ち込んだジャンルで、ようやく世の中の流れが元に戻りつつあることから、売上も回復傾向にあります。年末に向けてさらにトレンドは伸びていくと考えられるため、大手ECモールでも特集ページを開設し、昨年よりも露出を強化している事から、年末商戦はさらに大きく売上が伸びると考えられます。昨年の売上の落ち込みを取り返す良い機会になることでしょう。
※予測が難しいタイミングこそ堅実な店舗運営を
トレンド予測が難しい時期の販売戦略は、正直、実際に始まってみないと分からない事も多々あります。始まってからその時の状況に応じて適切に対応できるのであれば理想的ですが、いざ年末商戦が始まってからでは調整が難しいということであれば、大きなリスクを冒してまで挑む必要はありません。
「思い切ってたくさん仕入れておけば良かった!」
時にはそう思うことはあるかもしれません。ただ、それはあくまでも結果論であって、たまたま時流がそうなっただけの話です。たとえば、コロナ前にマスクをたくさん仕入れておけば大儲けできたかもしれませんが、そうなることを予測して儲けることができた人は、そう多くはいないでしょう。予測が難しかったからこそ儲ける事ができた訳で、予測できた人が殆どいなかったのであれば、そもそも、そんなことを考えること自体が無駄だと言えます。「10年前○○の株を買っていたら、今、何倍に増えていた!」といったことと同じです。
そんなこと憂うよりも、予測が立てにくい時は堅実に、そして予測が立てやすい時に思い切って攻めることで着実に売上を伸ばしていく方が長く店舗運営を続けていく秘訣なのです。
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