ECトレンド(2020年5月中旬〜6月)
2020年5月前半はECの売上が大きく伸びました。緊急事態宣言による実店舗営業自粛の影響でネットショップのニーズが高まったことが主な理由です。さらにゴールデンウイークの巣ごもり需要の影響で、その勢いに拍車が掛かりました。このままECが好調に推移すると思われましたが、母の日を過ぎた直後ぐらいから、その勢いは衰えはじめ、給料日の需要が見込める月末までトレンドが低迷しました。
5月中旬から月末に掛けての落ち込みは、前半が好調だった分の反動と、コロナにより先行きが不透明という不安から急激に消費にブレーキが掛かった推測されます。このように、直近5月の1ヶ月だけの売上推移を見ただけでも動きがとても不安定で、今後の方向性を予測することは非常に難しいと言えます。しかしながら、売上予算を組む上ではどんな状況下でも先を予測しなければなりません。状況が不安定な時期ではありますが、敢えて6月はどうなるかを占って見ましょう。
売上が伸びそうな要素を考える
もともと6月に売上が伸びる要素がたくさんあります。
・ボーナス支給月である
・セールが開催される
・父の日がある
・お中元商戦がはじまる
これらに加え、今年はもう一つ売上が伸びる大きな要素があります。それは「キャッシュレス消費者還元事業」終了に伴う駆け込み需要です。消費税率引き上げによる消費の平準化(消費の落ち込み防止)の一環として、2019年10月から開始されていたこと取り組みが6月末に終了します。還元対象となるクレジットカードを含むキャッシュレス決済は、いまやECにおいては欠かせない決済方法であり、決済方法全体に占める割合も非常に高いのが現状です。キャッシュレス還元の対象店舗から購入した場合は最大5%の還元(ポイントでの還元もしくはその場での値引き)があるため、少しでも安く購入したいと考えるユーザーの駆け込み需要が発生することは間違いないと予測できます。
需要と供給のバランス
6月に需要が上がると予測を立てても、在庫の確保ができなければ売上を伸ばすことはできません。コロナの影響で長い間テレワークを推奨していた企業も多く、その影響で商品の生産量が減ってしまったことで商品確保までにかなり時間を要してしまったり、まとまった在庫を確保できず、直ぐに商品が売り切れてしまったりということも起こり得ます。
世の中の流れは今なお非常に流動的ではありますが、トレンドが上向きになると予測を立てた以上は、できるだけ早く商品の確保に注力をしなければなりません。需要に対して供給が大きく下回らないように商品の入荷スケジュールをしっかりと管理しましょう。
トレンドが読みにくい時は短期間の予測を立てる
今のように世の中の流れが頻繁に大きく変化するタイミングでは、長い目で予測を立てるのではなく、1〜2週間、長くとも1ヶ月単位の短期間で目標を定めることが重要です。さらに修正する必要があれば、柔軟に方向性を見つめ直すことも大切です。世の中の流れや業界のトレンドなど、一店舗の踏ん張りではどうしようもない外的要因から受ける影響が大きい場合には、その流れに逆らうのではなく、流れに身を任せることも必要だと思います。思い通りに行かない場合は無理に攻めようとせず、今できる当たり前の事(早い発送、丁寧なユーザー対応、売れ筋商品の在庫確保など)に目を向けてみましょう。
もともとECはとてもトレンドの移り変わりが速い業界です。時代の流れに合わせることができなければ、いつか淘汰されてしまうという危機感を今一度、再認識する良い機会かもしれません。
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