RPPとアイテムマッチの活用法

Date:2020.05.17

ECの注文端末がPCからスマホへ移行していく中、効果的な広告の種類も変わりつつあります。以前人気があったバナー広告やメルマガ広告の反応が低下していく中、今なお効果的な広告として利用する店舗が多い広告が「検索結果連動型広告」です。楽天ではRPP(楽天プロモーション・プラットフォーム)、Yahoo!ショッピングではアイテムマッチ(ストアマッチ)、amazonではスポンサープロダクトと、各モールごとに呼び方は違いますが、これらはすべて特定のキーワードで検索された場合に、検索結果上位に商品が表示される広告です。いずれも広告をクリックされた段階で課金がされるクリック課金型で、クリックしたユーザーが商品を購入したか?しなかったか?は関係ありません。

スマホで商品を購入する場合でも検索窓から目当ての商品を検索するユーザーが多いため、注文端末がPCからスマホへ移行してきた現状でも、活用次第では効果的にユーザーを商品ページへ誘導できます。

しかしながら、ユーザーが購入へと転換しなかったとしても、広告がクリックされた段階でコストがかかってしまう仕様上、その反応と推移を頻繁に確認しながら対策を実施しないと、知らない間に無駄なコストをかなり消費してしまったということにもなりかねません。

今回は今のトレンドも踏まえた上で、検索結果連動型広告の使い方について考えてみましょう。

 

広告効果測定の指標

検索結果連動型広告の主な効果測定指標は以下の3つの項目となります。

・消化金額:消化した広告費用
・経由流通金額:広告経由で売れた売上金額
・ROAS:広告経由の売上÷広告費×100(%)

消化金額は広告を活用することで消化した合計コストです。楽天のRPPも、Yahoo!ショッピングのアイテムマッチも、Amazonのスポンサープロダクトも毎月々の予算上限を設定する機能がありますので、毎月の予算金額に応じてその上限を設定しておくことで広告金額のコントロールをすることができます。1ヶ月あたり「どれぐらい広告費を使うか?」を基準に設定しておくことをお勧め致します。

経由流通は、表示されている広告をクリックしたユーザーが商品を購入した合計金額(売上)となります。広告を経由して、いくら商品が売れたか?を知ることができます。

ROASは広告の効果測定で最も重要な指標です。「いくらの広告費に対して、いくらの売上を確保できたか?」を計る基準となり、費用対効果の良し悪しを判断できます。ROASがのパーセンテージが高ければ高いほど費用対効果が高く、低ければ低いほど費用対効果は悪いと言えます。

最大限の費用対効果を望むのであれば、上記項目は常に管理しながら運用しなくてはなりません。

 

各指標のバランスを考える

検索結果連動型広告は、その時々によって状況が大きく変化します。また、場合によっては、その変化の振れ幅が非常に大きくなるケースがあります。例えば、これまでROASが1,000%の商品が突然半分の500%になったり、場合によっては0%になってしまう場合もしばしばあります。

また、1クリックあたりの単価(CPC)も非常に流動的で、これまで1クリックあたり50円で検索トップに表示されていた商品(キーワード)が、倍の100円でも検索結果に表示されなくなってしまう事もザラにあります。

広告運用の最大の目的は「売上を伸ばすこと」と考えている方も多いと思います。費用対効果を考えずに売上を伸ばすのであれば、広告予算を増やせば良いだけですが、それでは適正な利益を確保することはできません。売上を伸ばす上で広告を運用するのであれば、常に費用対効果は考えていきたいです。

一方、商品の良さを知ってもらうために先行投資的に広告を運用する場合もあるでしょう。知名度が低い商品を目立たせるためには、どうしても投資が先行してしまうため、費用対効果(ROAS)を伸ばすことはなかなか難しいですが、それでも広告運用を続けたいという場合もあるでしょう。その場合は広告予算を決めたり、期間を決めたりと、事前に「このラインを超えて反応が取れなかったら掲載を止める」などの基準を決めておきましょう。

「広告運用の目的は何か?」を基準に、各指標のバランスを常に意識してください。

 

タイミングごとの各指標バランス

費用対効果を維持しながら売上を伸ばしていくためには、その時々の状況に応して広告の運用方針を変えていく必要があります。以下、筆者が考える検索結果連動型広告のチューニングをご紹介いたします。

ROAS重視:予算を割いても売上げが上がりにくい場合(シーズンオフなど)

ROASを重視する場合は、徹底的に無駄なクリックを排除する必要があります。例えば、広告費を割いても反応が取れないシーズンオフのタイミングなどは無理矢理、売上を確保しようとして積極的にコストを投下すると、みるみるROASが下がっていきます。思い通りに売上が伸びない場合にこそ、ROASを重視する運用を心掛けましょう!

経由流通:売上げが伸ばしやすいシーズン時(セール開催時など)

ハイシーズン時やセール開催時など売上を伸ばしやすいタイミングには、経由流通が伸びやすいように積極的にコストを投下していきましょう。もちろん、ROASとのバランスは必要ですが、売れやすいタイミングでは広告をクリックしたユーザーが購入に至るコンバージョンレート(購買率)が高くなる可能性が高く、ROASが出やすくなります。ただし、バレンタイン、母の日、父の日など、特定のタイミングに売れる商品で、且つ、商品単価が安い商品の広告を掲載する場合はクリック単価に注意しましょう。特定の日が近づくにつれクリック単価が急激に高騰することがよくあり、クリックしたユーザーが購入に至ったとしてもクリック単価が高すぎるという理由でROASが極端に下がってしまう危険性があります。購買率が上がったとしてもクリック単価が高すぎるとROAS低下に繋がります。ROASを上手に調整しながら経由流通が増えていくように上手に調整しましょう。

消化金額:売上げが伸びやすいときには多めに、伸びにくいときには少なめに

広告の消化金額はROASと密接な関わりがあります。売上が伸びにくいタイミングで広告予算を増やしても、上手に費用対効果をコントロールできない場合があります。原則として、広告費の割き方は「売上が上がりやすいときに多く」「売上が伸ばしやすいときには少なく」を原則に考えましょう。

 

大切なことは費用対効果

検索結果連動型の広告を運用する上で大切な事は、費用対効果です。その費用対効果を上手にコントロールしながら売上を伸ばすことができれば何も言うことはありません。そのために必要なことは「小まめなメンテナンス」です。費用対効果を最大限に伸ばすためには、その時々の状況を見ながら掲載商品を選別したり、クリック単価を調整する必要があります。従いまして、広告を表示しっぱなしでメンテナンスができないという事であれば、決してお勧めできる広告ではありませんのでご注意下さい。

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