LINEギフトとYahoo!ショッピングの統合
2021年3月にZホールディングス株式会社(傘下にソフトバンク、Yahoo!JAPANを有する大手ホールディングス企業)とLINE株式会社の経営統合が発表されました。これにより、Yahoo!ショッピング、PayPayモールへ出店する店舗に対して、LINEが運営する SNSギフトモール「LINEギフト」への新規出店募集が開始されました。
LINEギフトはSNSギフトモールとして日本国内で圧倒的なシェアを誇っており、Yahoo!JAPANとの統合により、一気に新規ユーザーの囲い込みを目指していくと考えられます。今後、SNSギフト業界において、どのような動きが出てくるかを予測してみましょう。
LINEギフトの特徴
LINEギフトとは、LINEで友達になっている人に対して商品を贈る仕組みです。LINE上で友達になっていれさえすれば、相手の住所や電話番号、さらには本名を知らなくても商品を贈ることができます。
商品をLINEギフト上で選び、LINE経由で贈りたい相手に仮想的に商品を送ります。(LINEのメッセージに、贈られた商品の情報が記載されたメッセージを送信して完了)そのメッセージを受信した人は、自分自身で送付先住所を入力すれば、後日、店舗から商品が送られて来る仕組みです。LINE経由で仮想的に商品を贈り、贈られた人は自分で送付先情報を入力します。送付先住所はLINEに出店している店舗には届きますが、プレゼント主には届きません。結果、送り先の住所を知らなくても商品を贈る事ができる仕組みが成り立つのです。
昨今、SNSツールの普及に伴って、住所を知らない相手との付き合いも多くなってきています。頻繁にメッセージを遣り取りしている相手だと、贈り物をしたいので住所を教えてほしいとお願いすると教えてくれるケースも多いと思いますが、事前に相手に気をつかわせる、遠慮して断られるパターンもあるでしょう。その点で、相手の住所を知らなくても商品を贈る事ができるこの仕組みは画期的だと言えます。
出店店舗が増えるメリットとデメリット
これまでLINEギフトは特定の店舗しか出店することができませんでした。主にメーカー直販を推奨しており、仕入れ販売を行なっている小売店が出店できるケースは稀でした。その分、出店しているお店や、イベントでピックアップされる商品は厳選されており、ユーザーにとっても良い品物が見つけやすい点で大きなメリットがありました。
Yahoo!ショッピングとの統合により、取り扱い商品が増え、選べる商品の選択肢が広がることはLINEギフトユーザーにとって有難い事ではありますが、その反面、商品を探しづらくなるというデメリットが発生します。
おすすめ商品が見つけやすいプレミアムモールならではの利点を、どのように維持していくかが注目されます。過去にYahoo!ショッピングへ出店する店舗数を一気に増やしたことで、一時的に出店店舗や出品商品のクオリティーがコントロールができなくなった経験をもとに、しっかり品質を管理することでLINEギフトのブランドイメージを維持してもらいたいです。
LINEギフトで売れる商品とは?
LINEギフトで売れる商品は、他のモールと比較して特徴が異なります。基本的にはギフト需要がメインとなりますので、自己買い商品は売り難いと言えます。また、簡単に贈ることができるカジュアルギフトのイメージが強いので、高単価の商品も売り難いと言えます。
さらに、スマホ表示に最適化された商品ページを作る必要があるため、商品の良さを端的にまとめる必要があります。また、商品を一覧で表示させた画面では、商品画像、商品名、価格が非常に限られた領域でしか表示されないため、一目で商品をアピールするためには、商品画像(サムネイル)が見栄えするものである必要があります。
ギフト需要が高く、比較的低単価で、かつ、見栄えがする商品がLINEギフトで売れる商品の条件であることを理解しておきましょう。
販売チャネル拡大のきっかけとして
LINEの日本国内でのアクティブユーザー数は約8,400万人と、日本の人口の7割以上の人が利用しています。日本トップクラスのユーザーが存在するインフラ上で商品を販売できる事は、新規マーケット拡大の観点からも非常に魅力的であると言えます。
もちろん、その新規マーケットの中でも競合は存在し、また既存モールとの販売手法も異なるため、出店しただけですぐに商品が売れるようにはならないと思いますが、新規マーケととしては魅力的な販売チャネルと言えます。
出店する機会に恵まれる店舗さんがいたならば、ぜひ、積極的に出店を検討してみてください。
Facebookの追随は?
SNSで世界的に圧倒的シェアを誇るFacebook の動きも気になります。昨今、Facebookと傘下のInstagramを中心に商品を購入するためのカートボタン機能を強化していることから、今後の動向が気になります。また、同じくグループ傘下のメッセージアプリWhatsappは、日本ではあまり馴染みがないですが、世界的には多くのユーザーが利用するアプリです。
これらのアプリをどのように活用してECに繋げていくのか?SNS業界の巨人の今後の動きに注目したいです。
Know-how
Ranking
Download