外部物流の使い分け

Date:2021.09.19

ネットショップの物量増加に伴い、外部物流の活用を検討しているお店も多いと思います。活用法に多少のコツはいるものの、商品を預けて、かつ、配送業務まで担ってくれるサービスは、売り上げが急成長しているお店にとっては非常に魅力的です。

 

Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングの大手3大ECモールは、コロナウィルス拡大の影響によるネットショップ需要拡大を見据えて、物流サービスを強化しています。どれも似たようなサービスに思いがちですが、それぞれ特徴が異なリます。

 

今回は大手3大ECモールの物流サービスの特徴を理解しながら、どのように活用していけば良いかを考えてみましょう。

 

 

FBA(フルフィルメント・バイ・アマゾン)

ECモールの中では先駆けて物流サービスに着手してきたAmazon。すでに日本全国に16箇所(2021年9月現在)の自社倉庫を構え、日本全国のみならず、海外への出荷にも対応しています。FBAはAmazonの店舗運営そのものを象徴しているサービスでもあります。Amazonと言えば配送が早いというイメージが強く、利用するユーザーも配送スピードを重視する人が多いです。FBAを利用することにより商品ページには出荷元が「Amazon」と表示され、スピードを優先するユーザーの絶大な支持を得ることができます。

 

また、Amazonでは配送スピードが速い商品は検索結果で上位表示される上での加点が高く、FBAに対応してるだけで、検索結果順位に表示されやすくなるという利点があります。従いまして、FBA利用による配送スピードの保証と、検索結果上位に表示されやすくなるというメリットを加味すると、FBAを利用するだけで既存商品の売り上げアップが期待できます。さらに、FABに対応することで配送に関する問合せや、返品対応についてはAmazonのスタッフが対応してくれることも大きな利点として挙げられます。

 

さらに、マルチチャネル配送サービスに対応していますので、Amazon以外の販売チャネルで売れた商品もAmazon倉庫から出荷してもらう事ができます。複数のモールなどで販売してるお店にとってはありがたいサービスです。

 

一方、デメリットとして挙げられる点は、納品前に商品に独自のバーコードを添付しなければならない事です。これは、Amazonの倉庫内で商品の入出庫処理段階を追跡できるように義務付けられている作業で、Amazonへ商品を出品する際に付与される商品の固有番号(ASIN)のステッカーを貼る必要があります。原則、このバーコードを貼る作業はAmazonへ依頼することができますが、別途、コストがかかりますので注意が必要です。

 

また、Amazon倉庫への納品は、納品するタイミングによって納品先が流動的です。効率良く荷物の入庫処理と場所管理をするための対策だと思われますが、納品プランを作成する度に、納品先の住所がコロコロと変わります。送り状発行ソフトに複数のAmazon倉庫の住所を事前に登録しておけば、納品先が毎回変更になっても対応は可能ですが、いちいち倉庫の住所を一覧から選ぶ事は面倒ですし、万が一、納品先の倉庫を間違えてしまうと、最悪の場合、商品の受け取ってもらえないというトラブルが生じる危険性があることを理解しておかなければなりません。

 

参照)https://sell.amazon.co.jp/fulfill/

 

 

RSL(楽天スーパーロジスティクス)

楽天市場もECの成長を見込み、物流サービスに注力しています。日本国内の物流拠点は5箇所(2021年9月現在)とAmazonよりはかなり少ないですが、日本郵政(JP)との業務提携により物流コストの低価格化とサービス向上へむけての取り組みを強化しています。

 

Amazonと異なり、原則として商品を納品する倉庫は固定ですので、納品の度に異なる倉庫の住所を指定する必要はありません。また、原則としてJANコードでの入出庫処理となるので、FBAのように納品前に商品番号のステッカーを添付する必要もありません。従いまして、メーカーの倉庫から直接商品を納品する場合でもスムーズに荷受けしてもらうことがメリットとして挙げられます。

 

RSLもマルチチャネル配送に対応していますが、唯一の欠点は楽天スーパーSALEなどのイベント開催時に全体的な物量が増加し、配送遅延が起こる危険性があることが挙げられます。RSLを利用しているお店は原則として楽天市場へ出店している店舗となるため、セール中に楽天市場で売れた商品の物量が増加することは仕方ないことかもしれませんが、その影響でYahoo!で売れた「あすつく」商品や、Amazonで売れた「マケプレ」商品の配送遅延が起こり得る事も理解しておきましょう。

 

参照)https://logistics.rakuten.co.jp/

 

 

ヤマトフルフィルメントサービス(Yahoo!ストア向け)

Amazonと楽天を追随すべく、Yahoo!はヤマト運輸との連携により物流サービスを強化しています。2020年3月に業務提携により開始された本サービスですが、2021年4月にサービス内容が大幅に刷新され、全国一律配送料金などを切り口に利用店舗の拡大に乗り出しています。

 

FBA、RSLとの大きな違いは、商品の入庫と出庫作業はヤマトの倉庫で行う点です。入庫データを作成する場合にもヤマトが用意したシステムを利用する必要があります。さらに、入出庫処理につきましては、基本的にヤマトの仕組みに合わせる必要があるため、運用には多少のコツが必要になってきます。

 

なお、このサービスを利用することで、対応商品はYahoo!ショッピング内で検索された場合に専用のアイコン(バッジ)が表示され、検索結果上位表示において有利になる事がメリットとして挙げられます。

 

参照)https://business.kuronekoyamato.co.jp/promotion/fulfillment/

 

導入前に受注処理システム及び在庫連携システムとの相性を確認

最近では複数モールへ出店しているお店も増え、異なるモール間での受注処理や在庫連携システムを導入しているお店も増えてきました。CrossMallやネクストエンジンなどのメジャーなツールはAPIでのデータ連携に対応しているケースが多いですが、その他のマイナーなツールとはデータ連携ができないケースがあります。導入を予定しているフルフィルメントサービスが、「既存のシステムに対応しているか?」「どこまで対向可能か?」を事前に確認しておきましょう。

 

 

外部物流の使い分け

Amazon、楽天、Yahoo!のいずれもマルチチャネル配送に対応しているため、どれか一つの物流サービスを利用することで、複数モール間での在庫共有や出荷連携が可能になります。ほとんどのお店は特定の物流サービスを導入すれば、そのサービスをどのように運営するかだけに意識が行きがちです。しかし、各サービスの特性を理解しながら、外部物流の利点を最大限に活かすためには、複数のサービスを使い分けた方が有利です。

 

例えば、AmazonのFBAを利用することによってPrimeマークを付与され、かつ、出荷元がAmazonと表示されることで、Amazonユーザーの絶大な指示を得ることができます。また、Yahoo!ショッピング内においても、ヤマトフルフィルメントに対応している商品は検索結果上位表示において加点対象になるメリットがあります。

 

さらに、特定の物流サービスだけを利用している場合、そのモールがセールによる物流増加で配送遅延の可能性が出た場合、全ての販売チャネルでの荷物が遅延してしまう危険性が出てきます。

 

複数の物流を同時利用する上で、在庫の分散やシステム連携が複雑になるなどのデメリットは発生しますが、それぞれのサービスを最大限に活かすためには、商品ごとに物流サービスの使い分けを検討しても良いかもしれません。まずは、「あなたのお店が外部物流に対して何を望むのか?」を明確にしながら、比較検討し、外部物流のメリットを最大限に享受して下さい。

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