増税直後のトレンド

Date:2019.10.16

消費税が増税されてはや2週間が経過しました。皆様のお店は順調に売上が確保できていますでしょうか?

 

筆者が様々なジャンルの店舗さんにヒアリングしたところ、増税後は全般的に売上が低迷しているところが多いようです。特に今回増税対象となった商品(家電・おもちゃ・ゲーム・パソコン・周辺機器・車用品・バイク用品・美容・コスメ・香水・腕時計・寝具・収納・インテリアなど)に関しては増税前の駆け込み需要で売上が大きく伸びた分、その反動で売上が低迷しているお店が多いようです。ジャンルにもよりますが、消費者が増税にも慣れ、マーケットに正常化するまでにはもう少し時間が掛かりそうです。

 

 

ECモールの傾向

各ECモールの売上推移を見てみると、増税後の動きがそれぞれ異なっているようです。Yahooやアマゾンに関しては元々の売上が低い店舗さんが多いこともありますが、全般的に動きはそれほど悪くないところが多いようです。一方、楽天市場に関しては増税直後にお買い物マラソンがあったにも関わらず、売上が苦戦しているという話をよく聞きます。全ての出店店舗に対してアンケートを取ったわけではないので一概には言えませんが、楽天市場が苦戦する理由は何となく検討がつきます。Yahoo!ショッピングとAmazonの販売戦略と比較しながらその理由を探ってみましょう!

 

 

大手三大モールの直近の取り組み

増税前後の楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonの3大モールの直近の取り組みを振り返ってみましょう。

 

楽天市場はスーパーセールやお買い物マラソンなど、買い回りでポイント倍率が上がるポイント施策が中心です。増税後もポイントを切り口に、増税前後にポイント施策を中心としたプロモーションを実施しています。増税前には駆け込み需要も追い風となり順調に売上が伸びましたが、増税後にはポイントに対しても興味を持つユーザーが少なくなったと推測されます。来年早々に予定されている3,980円以上は全店舗を対象に送料が無料になることに先立ち、増税のタイミングで送料分を上乗せしたユーザーも多くいると考えられ、他モールと比較するとすでに価格設定が高めになっている可能性も否定できません。

 

 

また、増税後にはいち早くキャッシュレス還元を導入したにも関わらず、ポイントが還元されるまでの期間が約2ヶ月と長いことや、原則として楽天市場からポイントが還元される決済方法は楽天カードのみなど、様々な要素が絡み合い、ユーザーにとって魅力が少ないマーケットになりつつあるのかもしれません。

 

 

Yahoo!ショッピングも楽天市場と同じくポイント施策には力を入れており、ソフトバンクユーザーを中心に囲い込み戦略を実施しています。5の付く日を中心にポイント倍率を上げることでユーザーの購買意欲を掻き立てています。さらに、そのネット販売戦略を後押しする戦略としてPayPay絡みの販売施策を積極的に実施しています。キャッシュレス決済でリアル店舗からユーザーを獲得し、そのユーザーが新規顧客としてネットショップを利用するという循環の構築に注力しているため、今後の売上げアップに期待ができます。さらに、今月から新しいプレミアムモール「PayPayモール」のサービスが開始されるため、さらに新規顧客が増加しそうな気配がします。

 

 

Amazonに関してはタイムセールを中心に、「ズバリ値引き」で勝負してきました。さらに、キャッシュレスの対応では他のモールが決済後しばらくたってからポイントを還元するスタイルに反し、決済時に5%の値引きしてくれます。商品によっては増税前よりも、増税後の方が安く購入できる商品なども多く、消費者にとってのメリットが明確になっています。

 

 

増税を切っ掛けに消費者の価値観が変化する?

今回の増税を切っ掛けに、これまでのモール販売戦略がそのまま通用しなくなってくるかもしれません。もちろん、従来通りポイントを切り口とした販売戦略に共感してくれるユーザーも少なくはないですが、増税や送料値上げによる影響で販売価格が高くなった状態で、いくらポイント還元率を上げたとしても消費者には響きません。

 

今後は決済方法などの生活インフラを優先する人が増えたり、そもそもの販売価格の安さが支持されたり、もしくは配送スピードなど、ネットショップを利用する人たちが当たり前に期待するサービスを忠実に実施してくれるなど、重視するサービスに変化が出てくるかもしれません。

 

これからも順調に売上を伸ばしていくためには、ユーザーニーズを的確に掴んでサービスを具現化すること、そして、コストを最小限に抑えることとのバランスが重要になってくると考えられます。見せかけのテクニックがどんどん通用しなくなり、商品、販売価格、サービスなど、ネット通販の確信をついているお店しか残れない時代が来ることは間違いないと言えるでしょう。

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