母の日から学ぶ記念日対策（2023年版）

母の日は、5月に最も売上高が伸びるイベントです。花屋では、年間売上高の約半分がこの時期に集中します。花のほかにも、スイーツ、キッチン用品、コスメ、アクセサリーなど、母親に喜ばれる商品の需要が一気に高まり、短期間での売上成長に大きく影響します。

年間を通じて定期的に開催されるイベント（母の日、父の日、敬老の日、バレンタインデー、ホワイトデーなど）は、通常よりも売上は伸びますが、世の中の情勢やトレンドによって大きく左右されます。ましてや、短期間で通常時の何倍もの商品を販売しようとすれば、事前に予測を立てて、十分な商品を確保しておく必要があります。仕入れる商品の量もかなりの量になるため、予測を大きく外すと、ダメージは計り知れません。

では、どのような点に着目して販売予測を行うとよいのでしょうか？今年の母の日のトレンドを振り返りながら考えてみましょう。

※カレンダーの巡り

2023年の母の日は5月14日でした。ゴールデンウィークは5月7日までだったので、連休明けから1週間空きました。一方、2022年の母の日は5月8日で、ゴールデンウィーク最終日でした。カレンダーの巡りは、ネットショップの売上に大きな影響を与えます。

私は、2023年の母の日のEC需要は、2022年よりも高かったと考えています。具体的なデータはありませんが、ランキングや複数の店舗からのヒアリングからそう結論付けました。

2022年のゴールデンウィークは、コロナ禍の影響で行動制限が緩和され、多くの人が旅行や帰省、ショッピングに出かけていました。また、母の日が連休最終日だったため、帰省ついでに、または一緒に外出するついでに、外食をしたり、出先の実店舗で母の日プレゼントを購入する人も多く、ネットショップでプレゼントを購入する機会は減少しました。そのため、ネットショップでは母の日向けの商品の在庫が余り、母の日直前には叩き売り状態になりました。

一方、2023年の母の日は、ゴールデンウィークから1週間空いたことで、改めてネットショップでプレゼントを求める人が増えました。連休明け直後は、散財の影響でトレンドは低かったのですが、母の日直前には急激にトレンドが高まり、大手ECモールでは母の日商材を求めるユーザーが集中し、市場が賑わいました。

バレンタインデーも、イベント当日が日曜日の場合はネットショップでの売れ行きが鈍化するなど、カレンダーの巡りはイベントの売れ行きに大きな影響を及ぼします。

※イベント直前の発送体制

イベント開催時には、イベント直前に駆け込み需要が発生することがよくあります。この需要を取り込むためには、ギリギリまで商品を発送できる体制が重要です。誰もが、直前で商品を注文する場合は、何とかイベント当日に商品を届けたいと考えます。例えば、母の日の前日に商品を購入しようとした場合、翌日配送に対応してくれる店舗を優先的に選ぶというのがユーザー心理です。

しかし、イベント直前まで注文を受け付けると、配送キャパを超えて配送遅延につながる危険性があります。そのため、事前に発送可能件数の上限を見極め、在庫設定をするなどして、トラブルが発生しないよう予防策を講じておくことが重要です。

また、イベント当日や翌日も「遅れてごめんね需要」があります。すでに対象商品が売り切れてしまった場合は仕方ありませんが、主力商品が売り切れてしまった場合でも、代替品を提案することで、一定のマーケットを獲得することができます。そのため、ページ上、メルマガ、LINEなどでユーザーに情報を配信することが重要です。

最後まで諦めず、イベント当日や直後もユーザーニーズに応えていきましょう。

※出来るだけ早い段階からの準備

ECモールでは、年末年始や母の日、父の日などのイベント特集企画の立ち上がりが年々早まっています。これは、早めに企画を立ち上げることで、ユーザーを優先的に獲得したいという狙いがあります。近年のユーザーの購買行動は、「どうせ買うならお得なタイミングで！」という心理から、早めに商品を購入する傾向が高まっています。おせち料理を取り扱う店舗が8月から販売を開始する理由も、このようなユーザーのニーズにいち早く対応したいからです。

ユーザー心理をいち早く察知し、それに応えられる販売戦略を打ち出せる店舗はユーザーからも評価されます。このような感性こそが、いかなる時代にも生き残っていけるネットショップの姿です。固定概念にとらわれず、ユーザー心理の変化に柔軟に対応できる能力を身に付けていきましょう。