楽天3,980円以上送料無料問題に向き合う
ここ最近、EC業界を賑わしているトピックとして、楽天市場が導入を予定している「3,980円以上の買い物で送料無料!」になるという施策があります。もともと2020年初旬からの導入を予定していましたが、導入反対店舗による署名活動や、公正取引委員会の立ち入り調査などの影響により、実質、導入のめどは立っていない状況です。(2020年2月28日現在)
今後、楽天側と公正取引委員会との間でどのように折り合いが付けられるかは、まだ未定ですが、この施策が導入されると仮定した対策として、どのように取り組んで行くべきかを考えてみようと思います。
送料の転嫁をどうするか?
3,980円以上で送料無料となった場合、「送料の転嫁をどうするか?」を考えなければなりません。単純に商品価格に送料を上乗せした値段設定(実質的な値上げ)にするか?それとも、これまでもらっていた送料を店舗負担で無料(販売価格据え置き)にするか?店舗側はその選択に迫られます。それぞれのケースを見てみましょう。
送料を商品価格に上乗せした場合
単純に送料を商品価格に上乗せすると、1個あたりの販売価格が高くなるため、商品自体が割高の価格設定になってしまいます。それらの商品を複数個数購入する人にとっては、購入個数に比例して、上乗せされた送料が商品価格に反映されてしまいます。
他のモールで送料別で同じ商品を出品している場合、複数個数商品を購入するユーザーはそちらで購入する方が合計金額が安くなり、送料を上乗せされた楽天市場で購入すると合計金額が高くなるという現象が起こります。そうなると、多店舗展開で複数のモールへ出品しているお店の商品は、楽天市場が最も高いモールということになります。結果、楽天市場のユーザーが他のモールへと流出してしまう危険性が高まります。
送料を「込み」で商品を販売した場合
利益率が高い店舗においては、送料を店舗側で吸収し、商品価格をそのまま据え置きで販売する選択肢もあると思います。その場合、送料の負担金額が店舗の運営費として余分にのし掛かってくることになりますが、送料を商品価格に上乗せして割高になってしまった店舗のユーザーが流れてくる可能性が出てきます。
広告費などを削り、上手にコスト調整することができれば、競合他店には真似できないアドバンテージをアピールすることができます。そうなると、他社から顧客が自然と流入してくるというメリットを享受できる可能性が高まります。簡単には真似できない戦略を実施することで、他店との差別化に繋がることが期待できます。
重要なポイントは競合他店との兼ね合いとコストバランス
送料を販売価格に上乗せするか?それとも、広告費をはじめ既存のコストを上手に吸収しながら店舗側で負担するか?健全な店舗運営と売上の成長という点においては、まずはやってみないと正解が見えません。送料を上乗せすることで売上が下がってしまえば意味が無いですし、一方、送料を自社で吸収することで赤字が膨らんでしまい、健全な店舗運営ができなくなってしまえば、それも意味が無いことだと思います。
競合他店も含め、全ての店舗が同じ条件で戦うことを考慮すると、「将来の方向性をどう定めるか?」によって正しいやり方が異なってきます。売上の成長とコストのバランスを慎重に考えながら、最適な店舗運営を模索していきましょう!
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