楽天市場の送料統一化戦略
楽天市場の物流戦略が目まぐるしく変化しています。2019年1月の新春カンファレンスで発表された通り、楽天市場は「ワンデリバリー」をコンセプトに掲げ、物流の統合、送料無料ラインの全店舗統一に向けて着々と準備を進めています。将来的には楽天市場で販売する商品の大半を楽天市場の物流センターで預かり、そこから一括して商品を発送する仕組みを考えています。
楽天市場への出店店舗約4万7千店の商品を預けられる規模になるまでには、まだまだ時間が掛かりそうですが、どうやら出店店舗の送料を統一化する事の方が先に実地される兆しがあります。楽天市場が発表したデータによると、「ショップによって送料が異なる」といった不満を抱える消費者が45.4%も存在するため、それらのユーザーニーズに対応するため、近々、導入されそうです。
楽天市場内で送料が統一化されると、どんな現象が起こりうるかを考えてみましょう。
価格競争激化
送料無料ライン未満の販売価格で出品している商品は、ほぼ確実に価格競争が激化すると考えられます。送料無料で販売するためのコスト(送料)は店舗側で負担しなければならない可能性が高く、多くのお店は送料を商品価格へ転換(販売価格に上乗せ)するはずです。
一方、販売力があるお店や、販売数もしくは売上を重視するお店は価格据え置きで送料だけを無料にしてくる可能性があります。送料無料ラインの引き下げに際し、そこには「特需を見込める」と考えるお店も多く存在するからです。送料や仕入れ原価、梱包資材を含めて、そのコストは店舗毎に異なります。たかが送料無料と言えども、そこには熾烈な価格競争が発生することが予測されます。
梱包キャパオーバー
例えば送料無料ラインが5,000円未満に設定された場合、これまで10,000円以上で送料無料にしていた店舗では送料無料のラインが下がることで注文件数が増える可能性があります。
梱包件数は、通常、売上金額ではなく発送件数に比例するため、これまで以上に梱包に要するリソースが大きくなる可能性があります。
問い合わせ件数の増加
注文件数の増加に比例し、問い合わせの件数も増える可能性があります。よくある問い合わせを常に調査し、商品ページのコンテンツ強化など、事前にユーザーの問い合わせが少なくなるような配慮が大切です。
客単価の低下
送料無料ラインが引き下げられると、ほぼ間違いなく客単価の低下に繋がります。客単価低下を招いたとしても売上を伸ばしていくためにはアクセス人数と転換率を伸ばす必要があるため、RPP広告やクーポンアドバンスを駆使してそれらの数値を維持することが大切です。
唯一のメリットは売上アップ?
送料無料ラインの低下に伴い、唯一、期待できる店舗側のメリットは売上アップです。客単価が低下したとしても、その分を注文件数でカバーできれば売上げアップは見込めます。送料無料が楽天市場が求めるユーザーニーズだとした場合、店舗側はそのトレンドに乗った戦略を考える必要があります。これまでの固定概念に拘らず、新しいトレンドに合わせてビジネスモデルを調整しながら時代の波に乗り遅れない販売戦略を考えて行きましょう!
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