楽天ショップオブザイヤー2023受賞店舗から見るEC業界の現状

Date:2024.02.03
目次

※昨年対比で売上げが伸び悩んだ店舗が続出
※リアル回帰による影響
※受賞店舗の特徴
※現在の戦略の延長線上に成長は無い

2023年1月24日に、楽天ショップオブザイヤー2023年受賞店舗が発表されました。今年の受賞店舗は各ジャンルともに軒並みパワーセラーが受賞を逃し、新興勢力が数多く受賞する結果となりました。2023年の楽天市場ではどんな事が起きていたのしょうか?受賞店舗からEC業界の現状を探ってみましょう。

 

 

 

※昨年対比で売上げが伸び悩んだ店舗が続出

まことしやかに囁かれている噂として、楽天ショップオブザイヤーを受賞するためには、12月から翌年11月までの年間の売上高が、昨年対比で10%以上成長している事が最低条件となります。従いまして、所属ジャンルトップの売上を誇っていたとしても、昨年対比で売り上げがマイナスになっている店舗は、決して受賞することができません。例えば、各ジャンルで上位3店舗が昨年対比で売上を割り込むと、実質、4位以下の店舗が受賞する事が起こりうるのです。

 

 

実質、2023年春頃までは、コロナ特需によりアパレルや旅行などの一部ジャンルを除き、ECの全体の売上が順調に伸びました。それまで順調に伸びた売上を、実質、コロナが終息して以降も伸ばし続ける事は、無風状態で上昇気流に乗るようなもので、並大抵な事ではありません。各ジャンルにおける売上上位店舗は、すでに新しく取り組む事がないぐらいいろんな事をやり尽くしており、時流の流れなどの外的要因の影響を受けやすいと傾向が強いです。従いまして、コロナ特需がなくなった事により、思うように売上を伸ばすことができず、結果、今回の受賞を逃した店舗が多く、繰上げでその下の順位の店舗が受賞するケースが増えたという事が考えられます。

 

 

 

※リアル回帰による影響

コロナ終息によりEC特需が沈静化したことに加え、消費者が活発に外出するようになりました。実店舗で買い物をする機会が増えたり、外食やレジャーに割く予算が増えた事で、ECで利用する予算が大きくシュリンクした事も売上成長の鈍化に影響を及ぼしています。実質、ECマーケットが昨年よりも縮小していく中で競争は厳しくなり、熾烈な消費者の奪い合いが起こっています。さらに、これまでは弱っていったが、回復の兆しが見えてきたリアル店舗ともユーザーを奪い取らなければならないとなると、コロナ禍とは打って変わって、非常に過酷な状況であると言えます。

 

 

 

※受賞店舗の特徴

すでに述べたとおり、今回の楽天ショップオブザイヤー受賞店舗を見ていると、ジャンル内で売上規模が第二グループ以降に属している店舗が多かった印象が強いです。しかしながら、僅かではありますが、ジャンルトップの売上を誇りながらも、昨年対比で売上をしっかりと伸ばし、受賞した店舗も存在しています。では、なぜ、すでにジャンルトップでありながら、厳しい状況を乗り越えて受賞できる店舗ができたのでしょうか?その理由はシンプルで、

 

①利益度外視で売上を伸ばす事だけに徹した。(結局は赤字)

②そのそも昨年の売上が何らかの理由(例えば商品の確保が出来なかったなど)で伸びず、その問題が解決して売上が回復した。

③商品提案力、サービスレベルがすでにトップクラスに達しており、かつ、その魅力を消費者に伝えるための広告費を捻出できる利益が確保できる体制が構築できている(利益率は低下しても黒字を維持する体力がある)

 

の三択です。

 

 

①の場合は、一定期間は売上を伸ばす事は可能ですが、もともと利益を確保できない販売戦略なので長続きはしません。②のケースは「たまたま」という運の要素が強く、決して販売戦略とは言えません。③の理由については、一時的に利益率は下がったとしても、資金に余力がある状態を維持さえすれば、継続する事は可能なので、自分のさじ加減でいつでも受賞を狙う事ができます。結論として、やはり競合他店と競争しながらも、利益を確保できる体制を構築できている店舗が、いつの時代でも最強という事になります。

 

 

 

※現在の戦略の延長線上に成長は無い

時代の流れも大きく変わり、これまで通りの戦略を継続するだけだと、思い通りに売上を伸ばす事ができません。売れる商品も、売れる価格設定も、広告の手法も大きく様変わりしています。これまで上手くいっていた販売戦略でも、それに依存し過ぎる状態が長く続けば続くほど、店舗経営はジリ貧になってきます。これまでの状況に安住する事なく、常に「より良い方法はないか?」を求め続けることができる店舗だけが、継続して成長しているのです。

 

 

 

※新しいトレンドをいち早く取り込む

楽天ショップオブザイヤー授賞式の翌日には、新春カンファレンスが開催され、楽天市場が今後注力していく戦略やサービスの詳細について語られました。賛否ありながらもモバイルへの投資は引き続き継続していくようです。更にモバイルと同時に楽天市場が注力していく取り組みがAIの活用です。昨今話題になっているAIを駆使することで、店舗運営はもっと進化していきます。例えば、商品ページを作成するために必要なテキストや商品画像などの素材はAIを活用して生成できるようになり、また、楽天市場が有するビッグデータをもとに、AIと統合させることで、今まで以上に詳細なデータ分析を行うことが可能になってきます。「AIの浸透はまだまだ先のことだ!」と受け取って様子を見るか?それとも「今のうちからAIを活用した店舗運営を目指そう!」と新しいことに積極的に取り組む店舗とでは、数年先に大きな差が開いていくと考えられます。

 

 

新しいトレンドをいち早くキャッチし、それも店舗運営に取り込んでいけるよう、柔軟な思考を持ち続けることが、実は成長の大きな鍵なのかもしれません。

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