新しい販売チャネルへの出店を考える

Date:2022.09.19
目次

※ポイント交換サイトへの出店
※SNSサイトへの出店
※購入を目的としないマーケットへのアプローチ

売上を成長させる戦略の一つとして、まだ出店していない販売チャネルへ出店する方法があります。様々な販売チャネルへ出店することで、そのチャネルを普段優先的に利用しているユーザーを取り込む可能性が拡がり、新規ユーザーの獲得へと繋がります。

 

 

新規販売チャネルへの出店を考える上で、最初に頭に浮かぶのが大手ECモールへの出店です。

 

 

「楽天市場へは出店しているけれど、Yahoo!ショッピングとAmazonはまだ出店していない」

 

 

そんな店舗さんは、まず、未出店の大手ECモールへの出店を検討すると良いでしょう。受注管理システムや在庫連携システムも、大手ECモール間であれば、すでに連携対応済みのシステムが多く、オペレーション業務の統一化も簡単に実現できます。

 

 

しかし、今回、ご提案する販売チャネルは、敢えて大手ECモールではない他のチャネルへの出店を考えてみたいと思います。既存ECモールとは全く異なっており、ユーザーの目的も既存ECモールとは全く違うチャネルです。現状では運営元からのスカウトという形式で声がかかることが多いため、自ら申し出ても出店には漕ぎ着けることができないかもしれません。しかし、それは現状はまだどれだけのポテンシャルがあるかを試しているためであり、今後、売上成長が見込めると判断した場合、一般公募による出店ができるようになるかもしれません。その時に備えて、事前に情報収集を始めておきましょう。

 

 

 

※ポイント交換サイトへの出店

特定のサービスを利用することで付与されたポイントを、商品と交換する事ができるサイトです。クレジットカード会社のポイント交換サイトや、航空会社のマイレージ交換サイトが代表的な例として挙げられます。

 

 

カード利用や航空会社を利用することで獲得できるポイントは、汎用性が高い金券や別のポイントに交換されるケースが多いですが、交換できる商品の品揃えを強化することで新たな市場を開拓しようとする動きが出てきています。大手航空会社のマイルを交換できるサイトへの出店および出品は現状では敷居が高すぎますが、クレジットカード会社が運営するポイント交換サイトは、出店店舗を集って交換商品の品揃え強化に取り組んでいる会社もあります。その代表格がセゾンカードが運営するポイント交換モール「STOREE SAISON」です。「STOREE SAISON」ではポイントサイト内に「出店お申込み」ページがあるため、興味がある方は申し込んでみても良いでしょう。セゾンカードが付与するポイントは有効期限がないため、多くのポイントを保有したユーザーも少なくはありません。なお、出店には独自の審査基準があると思われますので、必ずしも出店できるとは限らない事を事前に理解しておきましょう。

 

 

ポイントサイトへ出店する最大のメリットは、ポイントを有するユーザーに対して交換品として商品を提案できる点にあります。ユーザーはポイントを消化する事が主な目的となるため、お金で商品を購入する時と比べると商品を購入してもらいやすくなります。また、競合が少ない商品であればポイント数を比較(価格比較)される事なく購入してもらえる可能性も高くなります。通常のECサイトで商品を購入する行動とは異なり、すでに保有しているポイントという限られた商圏でのみ利用な「既存通貨」を商品に交換できる事を考えると、全く新しい市場へのアプローチと考えることができるのです。

 

 

 

 

※SNSサイトへの出店

InstagramやFacebookでは投稿した記事や写真にカートリンクを設定する機能が提供されており、ECとの親和性が高くなってきました。しかしながら、本来、SNSサイトの主な目的はユーザー同士の情報交換となるため、商品を販売するチャネルとして成長するまでにはもう少し時間が掛かりそうです。情報収集と物販の連携を高めるためには、ユーザーインターフェイスや導線をしっかりと見直し、商品を購入するための利便性を最優先した仕組みを組み立てる必要があります。

 

 

そんな中、日本で「ある特定のジャンル」に特化したSNSサイトがECとの連携を強化する動きが出てきています。住生活に特化したユーザーからの情報を掲載し提供するサイト「Room Clip(ルームクリップ)」です。2020年よりショッピング機能をサイト内で利用できるサービスの提供を開始しており、外部のサイトへ遷移する事なく、Room Clip内で商品を購入するまでの行動を完結させる機能です。現状ではユーザーが投稿した写真にリンクされる遷移先として、ユーザー任意のサイト(例えば楽天やAmazonなど)を設定することができますが、将来的にはRoom Clip内のストアへのみ遷移する仕様に変更になる可能性があり、Room Clip内で商品の購入まで完結させるためには、店舗としてRoom Clip内に出店する必要があります。

 

 

SNSを利用するユーザーの多くは、最初から購買意欲がある訳ではありません。しかしながら、商品を他のユーザーが購入して、その活用法をユーザー目線で分かりやすく解説したり、写真を用いて利用事例を紹介する事によって、購買意欲を掻き立てられます。結果、ユーザー同士が潜在需要を刺激しあって購入に至るという点において、ECモールとは違った切り口から新たなユーザーに訴求する事ができるのです。

 

 

 

 

※購入を目的としないマーケットへのアプローチ

ポイント交換サイトも、SNSによる情報配信サイトも、そこに訪問するユーザーは、最初からお金を使って商品を購入する事を考えてはいません。ポイントを消化したい人は、特に欲しい物が最初から決まっている訳ではなく、所有しているポイント数の範囲内で交換できる最良の商品を選びます。ユーザーの価値観だけでどの商品に交換するかを決めるため、そこに競合他店との競争が発生しにくくなります。交換ポイント数がそれ相当の金額に置き換えた価値よりも高かったとしても、そこでしかそのポイントを使って商品に交換できないのであれば、交換に至るケースは多くなります。

 

 

また、SNS経由で購買に至るケースも、最初から商品が欲しくてサイトにアクセスしている訳ではありません。むしろ、なんとなくサイトを見ていて、「この商品、良いかも!?」という気付きから購買意欲が湧いた結果、購に至るという点においては、ECモールで商品を購入するユーザーとは動機が異なります。本来であれば、SNSで見かけた商品が欲しくなると、その商品を販売しているサイトを探す作業が発生しますが、同じプラットフォーム内で商品の購入まで完結するのであれば、転換率は確実に高くなります。

 

 

このように最初からお金を出して商品を購入することを考えていないユーザーに商品を見つけてもらったり、その良さに気付いてもらって購入に至ったりできる販売手法は、既存販売チャネルとユーザーが被りにくく、新たな売上を創造する媒体としては理想的と言えるのです。

 

 

既存ECモール以外での新規市場開拓に意識を向けることで、新しい時代の波に乗って見ませんか?

 

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