売上が下がった時に着目すべき事
※売上減少の原因を探る
※売上が下がる前と後では何が違うかを探る
※現状を打開するためのリスクを試算する
※場合によっては新しいマーケット開拓を検討する
※状況に合った売上改善策を考える
コロナウィルス感染拡大によるEC特需が落ち着き、売上の成長が鈍化、もしくは昨年対比でマイナスになるお店が増えてきています。特需が落ち着いてきた事に加え、円安や資材高騰の影響で、どのような戦略を打ち出していけば現状が打開できるか?今後の戦略に悩んでいる人も少なくないと思います。
今回は、売上が下がってきた時に、何に着目したら良いかについて考えてみまます。
※売上減少の原因を探る
まず最初に、売上が下がる前と下がった後とでは、商品別の売り上げ構成比がどのように変化したかを確認する必要があります。売上を昨年同月比で商品カテゴリー別に分け、商品別売上構成比を出します。そうすることで、どの商品の売上が下がった事が全体の売上に影響を及ぼしている原因かを突き止める事ができます。
原因を突き止めたら、その商品の売上がいつから下がり始めたか?その時期を突き止めます。まずは直近3ヶ月の月別の売上を、上記と同じ要領で商品別売上構成比を出します。直近3ヶ月のデータから売上が下がり始めた時期が見えない場合は、さらに遡ってデータを分析します。
売上構成比が最も高い商品群(主力商品)の売上が下がり始めた時期が特定できたら、その時期に何が起きたかを調べていきましょう。
※売上が下がる前と後では何が違うかを探る
主力商品の売上が下がり始めた時期を突き止めたら、「売上が下がる前」と「下がった後」との違いについて調査します。主な原因として考えられる事は以下の理由に起因するケースが考えられます。
・販売価格を値上げしたから?
・値段は据置きだが、内容量が減ったから?
・商品の品質が落ちた?
・送料を値上げしたから?
・もともと提供していたサービスを中止したから?(翌日配送、ラッピングサービスなど)
・取り扱い店舗が増えて競争が激化した?(価格競争、広告露出競争など)
・そもそも商品の需要がダウントレンドになったから?
自店の運用内容による内的要因、多店舗から影響を受ける外的要因の双方から、徹底的に原因を究明していきましょう。
※現状を打開するためのリスクを試算する
売上減少の原因が分かったら、その対策を実施する上でのリスクを試算します。価格を下げる場合は利益率がどれぐらい下がるのか?結果、どれだけの売上増加に繋がるのか?それによって資金繰りや仕入れ計画は改善の見込みがあるのか?をしっかりシミュレーションしてください。その際、昨今、値上がりが続いている資材関係のコストアップも試算できればベストです。
売上を伸ばすことで確保できる利益率は、様々な要因から影響を受け、変動します。資材費の高騰に加え、原料高騰による商品自体の原価アップ、輸入商品の場合は円安による為替の影響など、様々な要素を視野に入れた上でしっかりとリスクを事前に理解しておきましょう。
※場合によっては新しいマーケット開拓を検討する
売上が下がった原因が、競合他店の値下げや販売強化に起因する場合、その状況次第では既存主力商品とは別の商品で売上構成比を伸ばしていった方が良いケースもあります。たとえば、型番商品をメインで取り扱っている店舗で、主力商品の価格競争が激しくなり、価格を下げる事でしか太刀打ちできないようなケースに陥っているのであれば、ある程度の売上は維持しながら、別の商品で売上を伸ばすことを強いられます。もちろん、今、売上の構成比が高い商品の売上を全て捨ててしまうと売上が急激に減少し、資金繰りがショートしてしまう危険性が伴いますので、あくまでも大きく利益を圧迫しない範囲で販売を継続し、新たな売上の柱になる商品を育てるやり方を選ばなければなりません。
既存主力商品の売上を維持する上で、価格以外の要素、たとえば、「売れ筋商品の在庫は切らさない」「配送スピードを強化する」「おまけを添付する」など、サービス面での優位性は保つ必要があります。事競合店が在庫切れ、納期遅延などの隙が見えた時に、価格を下げなくても売上げを可能性が少しでもあるなら、日頃からサービス品質維持にも積極的に取り組む意味はあるのです。
※状況に合った売上改善策を考える
大幅な値下げや、確保できる利益率を無視したような過剰な広告費投資など、短期的に見るとすぐに売上が回復しそうな戦略は店舗財政に悪影響を及ぼします。その状態が長く続けば続くほど、健全な店舗運営を維持することが難しくなります。
販売戦略を考える上で最も大事なことは、「長続きできる戦略かどうか?」を見極める事です。もちろん、セール開催時に一時的に売上を最大限に伸ばすための戦略として、通常よりコストを投下した販売戦略を実施することは「アリ」ですが、同じ戦略を常習的に繰り返すことは大きな危険が伴います。
売上が下がり、資金繰りが悪化すると、焦って無理した販売戦略を実施したくなる気持ちは理解できますが、その先にどうやって現状を打開するかの道筋をしっかりと立てた上で実践することを意識しましょう。
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