検索機能の陳腐化

Date:2020.07.01

黎明期からインターネットを活用している人達にとって、インターネットの入り口としてまず立ち上げるサイトは検索エンジンでしょう。目当ての情報を探すためには、検索窓から関連キーワードを入力し、サイトを検索することから始めます。

ネットショップで欲しい商品を見つける際にも、まずは検索窓から商品名やブランド名で検索して商品を探します。普段からインターネットをよく利用する人の大半が検索機能を利用すると思いますが、昨今、若年層のネットユーザーの中には検索機能をあまり利用しない人が増えているようです。何とも摩訶不思議な行動のように思えますが、検索機能を利用していない人は今後も増加すると予測されます。では、検索機能を利用しない人は、どのようにして情報を見つけているのでしょうか?今回はインターネットの新しい入り口について考えてみましょう。

 

※SNSを駆使する若者達

若者達が情報収集の入り口として、最近よく利用されているサイトはSNSです。文字情報系ならツイッター、画像系ならインスタグラムを活用する人が多いようです。これらのSNSサイトでも、もちろん検索機能は実装されていますが、検索エンジンと比較して大きく異なる点があります。それがハッシュタグです。

記事や画像を関連性の高いキーワードとハッシュタグで紐付けしておくことで、同じハッシュタグが組み込まれた関連情報を瞬時に閲覧することができます。さらに、そのキーワードと関連性がある他のハッシュタグをクリックしていくことで、更に関連性がある情報を見つけることができます。SNSを活用する若者達は、このハッシュタグをフル活用し、検索機能を使うこと無く自分の知りたい情報へ辿り着いていると思われます。

 

※SNSとECの関係性

すでにサービスが開始され、順次対応エリアが拡大されている次世代通信規格の5G。この5Gが普及するにつれSNSとECとの親和性がますます高くなります。欲しい情報を得るためにインスタグラムなどで画像を閲覧していると、商品やその活用法を紹介する画像などをよく目にします。漠然と潜在意識の中で「こんな商品があれば欲しいな。。。」と思っている人たちが、インスタグラムのそういった画像を通じて購買意欲が刺激されたというケースも少なくはありません。また、インスタグラムの画像にカートボタンを埋め込むことも可能ですので、何となく情報を見に来たユーザーに対して商品を直接販売することも可能です。これまでは商品を購入させるためのユーザーアへのプローチとして、検索サイトのリスティング広告やECモールのバナー広告などを活用する手法が主流でしたが、今後はこれらの手法が徐々に反応が薄くなり、SNSを入り口とした集客方法へとトレンドが変化していきそうな気がします。

さらに5Gが普及することで通信速度が劇的に高速になり、動画データを気軽に閲覧することができるようになれば、ライブコマースの可能性がさらに広がります。インスタグラムでは、最近、インスタライブというライブ動画配信が流行しています。また、短編動画配信で急激にユーザー数を増やしているTikTokに関しても、今後はライブ動画配信サービスを強化していくと発表しています。ライブコマースは、これまでテレビを通じて商品を販売していた「ジャパネットたかた」のような通販番組がそのままインターネットへ移行した新しいスタイルです。最近では有名人や人気ユーチューバーなどとコラボして短時間に多くの商品を販売するという新しいビジネスモデルが増加中です。5Gの普及がこの変化に大きな影響を及ぼすことは間違いないと言えます。

 

※レコメンド式ウインドウショッピング

最近ではあまり耳にしなくなりましたが、ネットショップが世に出てくる前には「ウインドウショッピング」という言葉がもてはやされました。お店のショーウィンドウを見て歩く行動を意味し、特に欲しい商品が決まっていなくとも、ウィンドウショッピングを通して欲しい商品を見つけ、購買に至るというケースも多々ありました。

最近では街に出かけなくとも、インターネットを通じてウインドウショッピングと同じような体験をすることができます。さらに、閲覧履歴や購買履歴からAIが欲しそうな商品を提案してくれるので、自分の足で複数のリアルショップを見てまわるよりも、短期間で効率的に欲しい商品に辿り着くことができます。Amazonをはじめ欲しい商品を的確に提案してくれるECサイトにおいては、過去に閲覧した商品ページをクリックしていくだけで、商品を検索することなくお目当ての商品に辿り着くことができます。今以上にレコメンド機能が進化していくと、何となくインターネットを閲覧するところから欲しい情報へ辿り着くまでのプロセスが大幅に短縮され、かつ精度が高くなっていくと検索機能は全く無意味な存在となってしまいます。

 

※音声入力がECの未来を変化させる

検索機能の陳腐化に大きな影響を与えるもう一つの新しい機能が「音声入力」です。最近では音声で操作できるスマートスピーカーが身近な存在となってきましたが、将来的にはECと大きく関わり合っていくと考えられます。AIで自分の行動パターンを判断し、今必要な情報や商品を自動的に提案してくれる時代も、そう遠くはありません。いずれは検索するという行動自体が陳腐化するのも自然な流れと言えます。

 

※検索不要で欲しい情報に簡単に辿り着く時代へ

検索機能を利用しなくとも欲しい譲歩や商品へと辿り着く術はたくさん出てきています。時代の流れとともに誰もが通る「インターネットの入り口」とされた検索エンジンも、時代の流れとともに必要とされなくなることは当然の成り行きかもしれません。また、この流れはECにも大きな影響を及ぼすことは間違いないでしょう。

ここ数年間はECにとっては激動の時代になります。時代の波に取り残されないよう、新しい事には常に興味を持ち、素直に受け入れていく柔軟性が成長し続けるための秘訣であることは間違いありません。