適正在庫の見極め方(アフターコロナ編)

Date:2022.06.20
目次

※アフターコロナの適正在庫
※値上げによる売価高騰の影響を考慮する
※状況に合わせて臨機応変に対応する

コロナウィルスの感染拡大が人々の意識から薄れつつある昨今、ネットショップのトレンドもこれまでの状況から変化しつつあります。週末に街へ出ると、百貨店やショッピングモールは以前のような賑わいを取り戻し、客足が遠のいていたコロナ禍の状況が嘘のように思えます。

 

 

リアル店舗への消費が元に戻り、更に緊急事態宣言や蔓延防止による外出が規制がされなくなった今、長い間自粛モードにあった旅行も、そろそろ再開したいと思うユーザーも増えています。また飲食店もかつての賑わいを取り戻しつつある中で、商品購入以外にお金を使う需要も高まってきています。

 

 

お金の使い道がなく、ネットショップで買い物をしていた予算が、リアルショップでの買い物や旅行、外食などのエンターテイメント用途に分散することで、ネットショップはコロナ禍以降のようなEC特需の恩恵を受けながら、容易に売上を伸ばすことは難しくなってきました。しかしながら、大手ECモールでは未だに新規ユーザーの流入は多いため、ネットショップを利用する人は確実に増加しており、今後も一定数は定着すると予測できます。

 

 

とは言うものの、コロナ前、コロナ禍、コロナ後と、ここ数年でトレンド予測が非常に難しくなり、どのように販売戦略を立て、商品をどれぐらい仕入れたら良いかに頭を悩ませるネットショップオーナーも多いと思います。今回は販売戦略を立てる上で最も重要な、在庫に関する考え方を今の状況と照らし合わせて考えてみましょう。

 

 

 

※アフターコロナの適正在庫

コロナ特需が落ち着きつつある現在、どれだけの在庫を抱えれば適正なのか?に悩む人が多いです。昨年対比で売上を試算すると、思うように成長しない場合は過剰在庫になりますし、売上成長が鈍化してきたと言えど、仕入れを抑えると販売ロスに繋がります。何を基準に適正在庫を見極めたら良いかは悩ましい問題です。仕入れボリュームは売上予測を元に試算するしかありませんが、その試算をする上で何を基準にすべきかを決めなければなりません。

 

 

そこで、筆者が考える一つの基準が以下の公式です。

 

 

アフターコロナの適正在庫=コロナ禍以前の適正在庫数×コロナ禍以降の年間平均成長率

 

 

コロナ禍以降の平均伸び率(例えば直近2年間の平均成長率)を算出し、その率をコロナ禍以前の各月ごとの商品別の適正在庫に掛け合わすと、現状の店舗運営にとって適切な在庫が導き出せるという一つの基準です。この基準が最適かどうかは実践して検証するしかないですが、何も基準がないままに適当に仕入れボリュームを決めてもリスクが伴うだけです。少なくとも、コロナの影響でどれぐらい成長したのか?その後、それぐらい成長が鈍化して現在に至るのか?そのアップダウンを数値で把握しておくことは、今後の販売戦略を考える上で、とても重要なことと言えます。

 

 

 

※特定の日に売れる商品は「カレンダーの巡り」を意識する

今年の母の日は、昨年と比べて大きくネットショップのトレンドが低下しました。多くのショップでは在庫を少しでも残さないように、母の日直前には大幅に商材を値下げする店舗も多く見受けられました。今年は母の日が5月8日で、ゴールデンウィークの実質最終日でした。何の規制も無かった今年のゴールデンウィークは、連休中に帰省した人も多かったため、母の日当日は田舎で家族で過ごした人も少なくな買ったと推測できます。実際にお母さんに会う機会があるとすると、一緒にお店に出かけてプレゼントを購入する方が効果的だし、もしくは、プレゼントを購入するよりも一緒に食事をしたり、どこかへ出かけた方が喜んでもらえると考える人が一定数いると想定できます。結果、リアルショップでの買い物や食事、外出の予算に割く機会が増え、ネットショップで買い物する予算が縮小されたことが、ネットショップ全体の売上減少へと繋がったと考えられます。会うことができないから、ネットで商品を購入して送ることに価値が生まれる訳で、実際に会う機会に恵まれるタイミングではネットショップに対するニーズは下がると予め予測することは不可能ではないのです。

 

 

上記はあくまでも結果論ですが、母の日、父の日、クリスマス、バレンタイン、ホワイトデーなど、特定の日にたくさん売れる商品を扱っているお店は、カレンダーの巡りによって、大きくユーザーニーズが変化します。この事を考慮しながら適正な仕入れ計画を立てるよう心掛けましょう。

 

 

 

※値上げによる売価高騰の影響を考慮する

ここ最近、色々な物の原価が高騰しています。梱包資材、小麦粉、原油高騰の影響で、販売価格を値上げせざるを得ない状況だと考える人も多いでしょう。値上げすることで、少なくとも売上が減少するリスクが伴います。定価が決まっていて、全てのお店が同じ商品で販売している商品については売上減少の影響は少ないかもしれませんが、販売価格が自由に設定できる商品に関しては、値上げするタイミングがお店ごとに異なったり、もしくは、販売数を優先するあまり、値上げせずに利益率を下げて今のままの売価で商品を継続販売するお店もあります。

 

 

このような状況下で値上げに踏み切ることは、一時的かもしれませんが販売数が減少することを考えながら適正在庫を考えなければなりません。長期保管が可能な商品であれば、時間をかけて在庫を捌くことができますが、賞味期限など販売できる期間が限られている商品の場合、この判断を誤ると大きな損失に繋がる危険性があることを理解しておきましょう。

 

 

 

※状況に合わせて臨機応変に対応する

今後しばらくは、まだまだ流動的な状況が続くと予測されます。ロシヤとウクライナの戦争、円安、原材料の高騰など、常に今後の動向を的確に予測することは非常に困難と言えます。少なくとも3ヶ月先の未来を見据え、その時の状況によって販売戦略を臨機応変に変更できる柔軟な対応を心掛けましょう。

 

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